フルスイングからの力強い打球が左、右に飛んだ。DeNAの新助っ人、ナイジャー・モーガン外野手(32=ブルワーズ)が9日、春季キャンプ初の紅白戦に両軍の「3番DH」で実戦デビューした。

 来日“初打席”は長いリーチを生かして外角高めの直球を引っ張っての右前打、2打席目は逆にその腕をしっかりたたみ、内角球を左前にライナーで運んだ。当てにいくのではなく、しっかり振り抜いての2安打に「自分の持ち味が出せた試合だったよ」と手応えをにじませた。

 求められる仕事への自覚が技術を支えている。「自分の役割は塁に出て、走者を回すことだからね。その役目を果たすことだけに集中しているよ」。11年のブルワーズ時代は、フィルダー(タイガース)ブラウンへのつなぐ2番打者として3割4厘をマーク。足も武器だけに「自分では1番タイプと思っていたけどね」と笑ったが「(2番として)求められていることは分かっていた。一番大事なのは、そこで自分の能力を発揮することだよ」。ブランコ、ラミレスの得点力を生かす3番として期待されていることを自覚するからこそ、しっかりアピールして見せた。

 意欲も高い。この日の白組の3番予定だった下園が故障で欠場することを知ると「日本はアメリカと違って投球動作の途中でいったん止まる投手が多い。タイミングを見てみたかったから」と、両チームでの出場を志願した。

 ストライクカウントを間違えアウトになるミスもあった。気性の荒さから“暴れん坊”と言われてきたが、その前評判どおり、グラウンドで暴れまくってみせた。【佐竹実】