タナボタじゃないぞ~!

 阪神ドラフト3位田面(たなぼ)巧二郎投手(22=JFE東日本)が13日、昇格即実戦デビューした。沖縄・宜野座キャンプの紅白戦の6回に紅組の3番手で登板。西岡ら1軍打者に動じることなく、1回を3者凡退に抑え、アピールに成功。ボタモチ…いや開幕1軍は実力で勝ち取る。

 緊張のデビュー戦で結果を残した。6回にマウンドに上がった田面が1軍昇格即、初登板した。先頭俊介は122キロスライダーで一直。続く1番西岡の初球に、この日の最速141キロをマークして最後は一ゴロ。大和も力ない二飛に仕留め、3者凡退。背番号41は、バッテリーを組んだドラフト4位小豆畑と笑みでベンチに引き揚げた。

 田面

 (緊張は)多少ありました。バランスが良くなかったけど、その後、スライダーでカウントを取れた。次から真っすぐでカウントを取っていけるようにしたい。

 1回を3人で抑えたことは収穫だ。それでも謙虚に内容を振り返り、反省を忘れなかった。最速151キロの直球で押す投球スタイルが持ち味だが、ボールが先行し、変化球を多投した。

 和田監督は「雰囲気を持っているピッチャー。真っすぐでドーン、ドーンとくるのが本来だと思う」と期待を寄せる。中西投手コーチも「もうちょっと真っすぐを見たかった。真っすぐの回転はどっちかと言えば、汚い。西岡にも引っかけ気味でちょっと動いていた」と分析した。

 社会人出身で中継ぎの即戦力として期待される。1軍キャンプスタートの可能性もあったが、体力づくりを優先するため、2軍スタート。8日にブルペンで変化球を解禁し、10日にフリー打撃に初登板したばかり。安藤、加藤らベテランと同組で焦らずに調整していたが、緊急招集された。投手では秋山、歳内らが第3クールから昇格する構想だったが、歳内が11日の練習試合で乱調。力量を見極める狙いで、ドラ3右腕にチャンスが転がり込んだ。

 昇格即のテス投で結果を残し、棚ぼた昇格でないことを証明。和田監督も「昇格した4人がいいものを見せてくれた。最初は外れた悔しさを持ってね」と2軍からはい上がってきた田面、秋山、白仁田、坂の躍動に目を細めた。

 田面

 (1軍打者は)雰囲気があった。動じずに頑張っていきたい。今できることをやるだけ。

 ルーキー右腕の初登板を福原、渡辺、鶴、榎田、岩本が左翼席のフェンスに身を乗り出して“偵察”していた。2軍スタートから下克上。目標の開幕1軍へ、周囲69センチのごっつい太ももで1歩ずつプロの階段を上っていく。【岡本亜貴子】

 ◆虎の中継ぎ事情

 新守護神久保につなぐリリーフ陣は右=福原、渡辺、左=筒井、加藤が中心。筒井は左肩関節周囲炎のため1軍を離脱し、2軍調整中。榎田、鶴が先発に転向したこともあり、中継ぎ争いは激しい。右は久保田、白仁田、伊藤和、新人田面、2年目松田ら復活組と若手が争う構図。左は川崎、藤原、新加入の高宮らがしのぎを削る。<田面巧二郎(たなぼ・こうじろう)アラカルト>

 ◆生まれ

 1990年(平2)12月9日、群馬・みどり市。

 ◆球歴

 桐生商、日産自動車を経てJFE東日本。

 ◆本格派

 最速151キロのストレートのほかフォーク、スライダーを駆使。

 ◆驚異

 太ももの周囲は69センチ。現役時代の金本氏の自己最高が66センチ、榎田が68センチ。阪神時代の井川(現オリックス)が70センチとされ、菊地スカウトは「馬力がある」と太鼓判。

 ◆ポスト球児

 憧れの投手はカブス藤川。「いずれは埋めていきたい」と虎の守護神が将来の目標。

 ◆勤勉

 1月の新人合同自主トレの持久走を観察した和田監督は「遅いなりにも一生懸命。妥協せず走りきった。勤勉さがある」と分析。

 ◆家族

 母、姉、兄。

 ◆サイズ

 177センチ、90キロ、右投げ右打ち。推定年俸840万円。