<オープン戦:ヤクルト3-8ソフトバンク>◇17日◇神宮

 ソフトバンクのドラフト1位東浜巨投手(22=亜大)が、思い出の神宮で開幕ローテに大前進した。ヤクルト戦の5回から、大学時代に慣れ親しんだマウンドに立ち、プロ最長となる5イニングを投げた。被安打3、失点はプロ初被弾となる本塁打の1点に抑え、プロ初セーブもマーク。秋山監督の評価をさらに高めた。

 5回、「ピッチャー東浜」のコールを背に、東浜はブルペンから小走りで登場し、帽子を取りマウンドに一礼した。「久しぶりの神宮、朝からワクワクしていました。外野までお客さんが入っていて大学とは雰囲気が違いました」。平日開催の東都リーグとは違うにぎやかさにプロの実感がこみ上げる。スタンドでは亜大同期の仲間も観戦。汗と涙の染みこんだマウンドに立つと東都通算35勝右腕の気持ちが高ぶった。

 6回、死球に暴投2つで自ら2死三塁のピンチを招く。ここからが真骨頂。左の代打松井淳に2ボール1ストライクから、外角低めにツーシームを続け空振り三振を奪った。「しっかり追い込んで、しっかり投げられたのは満足しています」。表情は充実感に満ちていた。

 8回には亜大の先輩川本からバックスクリーンへプロ初被弾を浴びた。初球にクイックで空振りを奪い、2球目は足をゆっくり上げてタイミングをズラした。しかし、135キロのど真ん中直球を見逃してくれるほどプロは甘くないと、あらためて痛感。これも開幕までの収穫だ。

 「上半身が力んでリリースが早い」と直球が高めに浮く反省点もあったが、スライダーやツーシームの変化球はほぼ全球低めに集まった。本人も「バランスがいい」と考えていたノーワインドアップ投法を走者がいなくても選択するなど開幕へ向け準備が整ってきている。秋山監督も「前回よりいいんじゃない」と、9日のロッテ戦での4回無失点より内容を評価した。

 開幕までオープン戦登板はあと1回。「次は結果もそうですが、自分の納得できる投球をしたい」。登板が濃厚な22日からの広島3連戦で課題を解消し、本番へと向かう。【石橋隆雄】