<巨人6-4中日>◇6日◇東京ドーム

 1941年(昭16)以来という開幕6連勝の重たい扉を、巨人打線は軽やかに開けていった。1回、1死一塁で坂本勇人内野手(24)が先制の適時二塁打。菅野の立ち上がりを楽にした。助っ人コンビの本塁打に4番阿部の2点適時打と、中押し、ダメ押しも理想的だった。制球自慢の中日投手陣が慎重になり、終始ボール先行となる好循環。13安打を浴びせた。

 WBC帰りの坂本は猛打賞だった。「いい感じで打てました。前回、アイツ(菅野)の時チャンスで打てなかった。結果が出て良かったです」と穏やかだった。5回無死一、二塁ではバントを2球ファウルするも、次球を左前打。阿部に、無死満塁というおいしい場面をお膳立てした。村田以降の下位が重厚な今、看板である「3番遊撃」の復調で打線に芯が入った。

 国際大会は、経験した者にしか分からない重圧がある。外国人相手にパワーアップをもくろみ、オフに5キロ増量して臨んだ。本番前日の3月1日だった。練習中、ガラスに映った逆三角形の顔を見て「あれ…。僕、やせてませんか。やせてるじゃないですか」と驚いた。全身を見れば、ユニホームもダブダブだった。合宿後のたった2週間で、苦労して増やした筋肉が元に戻っていた。

 プラスに解釈できるのが坂本らしかった。「でも、ですよ。逆に良かったんじゃないかと。重たい感じがなくなった。動きやすくなったから、OKですね」と笑っていた。帰国すると、栄養補助のサプリメントをバッグに忍ばせ、体調管理を徹底した。7回にはモーションを完全に盗んで盗塁を決め、捕手の悪送球を誘って三塁へ。軽やかに暴れる自分らしさを取り戻した。

 坂本が打線の上位と下位をガッチリとつなげ、6連勝。原監督が「あと1点、2点と取れなかったのが課題。慎之助は明日、1本、大きいのを打ってくれるのでは」と貪欲に結ぶのも自然だった。【宮下敬至】