<ヤクルト4-3ソフトバンク>◇25日◇神宮

 精密機械のようなコントロールに狂いが生じた。ソフトバンク摂津正投手(30)が2年ぶりに先発転向後、登板2試合で2連敗した。4回4失点KOで今季3敗目を喫した。「立ち上がりがすべて。申し訳ない。それだけです。僕のせいです」。ファンが声を張り上げる三塁側スタンドの前を、伏し目がちにして、足早に通り過ぎた。

 ヤクルト打線の“わな”にまんまとはまった。決め球のシンカーを徹底的に見送られた。これで変化球の選択肢がスライダー、カーブに狭まり、狙い打たれた。1回にはバレンティンにカーブを同点打。2回には1死一、二塁で、ミレッジに勝ち越し3ランを被弾した。再びカーブだった。

 「高く浮いてしまった。失投でしょうね」と淡々と振り返ったが、高山投手コーチは微妙な歯車のズレを指摘した。「右打者の内角が真っすぐもシンカーも機能しなかった。内がないからカーブを打たれる。肩の開きが早い。甲子園の時はそうでもなかったが…。結果が欲しいという気持ちがあったかもしれない」。

 前回18日の阪神戦(甲子園)では今季最短となる3回6失点KO。ただ切り替えたように前日練習の表情は明るかった。キャッチボールでは握りの違う直球を自在に操り、チームスタッフを驚かせて笑った。そんな余裕も、2年ぶりとなる神宮のマウンドでは消えてしまっていた。

 2試合連続で4失点以上はプロ入り初の屈辱。秋山監督も「珍しいな。慎重になりすぎたのかな」と投手陣の柱をかばった。セ・リーグの最下位に逆転負けし、勝率5割復帰はならず。勢いが続かないチームと同調するように、昨季の沢村賞右腕も波に乗りきれない。【大池和幸】