<阪神7-1日本ハム>◇26日◇甲子園

 猛虎打線が大谷に襲いかかった?

 初回、日本ハム大谷が守るライト前への4連続適時打を含む6連打で一挙6得点の猛攻。ルーキー阪神藤浪晋太郎投手(19)の復帰戦で大量援護した。5番新井貴浩内野手(36)は通算1000打点に王手。さあ、巨人とは1・5ゲーム差。G追い上げへ、虎が加速してきた。

 まるで右翼手大谷を狙い打ちしたようだ。甲子園の青空に、快音6連発が響き渡った。阪神マシンガン打線が作戦を徹底し、初回に6連打6得点を記録した。相手先発は左腕・武田勝。130キロ前後の直球にシュート、110キロ台のスライダーにチェンジアップ、100キロ台のカーブが持ち球の軟投派だ。「浮き球を狙え」、「中堅から逆方向に打ち返せ」。作戦チームによって練られたプランが見事にはまった。

 和田監督

 バッティングコーチ冥利(みょうり)に尽きる。ミーティングからセンターから逆方向と言って、忠実にやってくれた。

 初回1死一塁、3番鳥谷が外角直球を中前へ。けん制悪送球で1死二、三塁となり、4番マートンが外角高めチェンジアップを右前にはじき返し、先制点を奪う。なおも1死一、三塁、5番新井は真ん中スライダーを右前適時打。6番新井良は外角チェンジアップをバットの先で右前に持っていき、7番浅井は高め直球に詰まりながら右前にポトリ。大谷狙い撃ちではないが、4者連続右前タイムリー。最後は8番藤井が高め直球をとらえ、左翼フェンス直撃の2点二塁打を放った。圧巻の5者連続適時打だった。

 新井

 チームとして徹底できたのが良かった。センターから逆方向、をね。

 通算999打点で1000打点に王手をかけた新井にも充実感が漂う。低めの球を凡打する、緩い球を引っかけるシーンは皆無だった。関川打撃コーチは「よく浮いたボールを打ってくれた。よく徹底してくれた。素晴らしいです」と感慨深げにナインをたたえた。

 武田勝を4回KOし、13安打7得点。1イニング6得点は今季4度目。チーム打率2割6分8厘はリーグトップをキープする。今季最多の貯金10をたたき出した猛虎打線。潜在能力と作戦の歯車がかみ合い、1度火がついたら、もう止められない。【佐井陽介】

 ▼阪神は1回、今季1イニング最多タイ6得点。4月26日DeNA戦5回、5月3日ヤクルト戦2回、4日ヤクルト戦1回に続き今季4度目のビッグイニング。昨年の1イニング最多得点も6点だが、8月19日ヤクルト戦9回の1度のみ。大量得点イニングの増加が好調につながっている。