<ロッテ0-3DeNA>◇12日◇QVCマリン

 最後の打者を右飛に打ち取ると、DeNA三浦大輔投手(39)は高々と右拳を突き上げた。チームの連敗を5で止める今季初完封。「完封した時くらいは派手にやりたいと思っていた。僕の幸せの1つです」。39歳5カ月での完封は小山正明が持つ39歳1カ月を更新する球団最年長記録。充実の表情で喜びをかみしめた。

 立ち上がりから球を低めに集め、「キレが良かったし、しっかり両コーナーにコントロール出来ていた」というカットボールを多投。初めて得点圏に走者を背負った8回1死二塁でも、岡田、根元をそのカットボールでともに二ゴロに封じた。9回にはこの日最速の140キロを2度マークするなどスタミナも問題なし。「キャンプで投げ込んできたし、スタミナは大丈夫でした」と、胸を張った。

 今季でプロ22年目。常に口にするのは「俺はボールの出し入れで勝負出来ないとダメ。持ち球をフルに使って初めて勝てる」。この日もカットボールだけでなく、シュート、スライダー、フォーク、カーブを巧みに織り交ぜ、的を絞らせず。直球が130キロ台でも抑えられることを証明した。

 そうやってアウトを重ねてきたからこそ、前日11日に明らかになった統一球問題には過敏に反応した。問題視したのは飛ぶようになったことではなく、このタイミングで明かしたNPBの対応。「最初から分かっていれば、メンタルが変わってくる。投手は1つアウトを取るために、何千球も投げ込んでいる。そういう部分が、ないがしろにされている感じがして悔しい」。打ち取ったと思った打球がスタンドに入ることで生じる感覚のズレ。そのズレ=動揺が投手心理にどれだけの影響を及ぼすか。しっかり感じてほしかった。

 この日の三浦はそんなズレすら感じさせなかった。「どうやって抑えるかだけ考えた」121球で、飛距離だけでない、野球の魅力を見せつけた。【佐竹実】

 ▼39歳5カ月の三浦が昨年4月以来の完封。DeNAでは73年8月30日ヤクルト戦の小山(39歳1カ月)を抜き、チーム最年長完封記録を更新。プロ野球最年長完封は山本昌(中日)の45歳0カ月。また53年9月28日広島戦の有村(39歳2カ月)を抜き、チームの最年長完投も更新。最年長完投のプロ野球記録も山本昌。