<DeNA6-4阪神>◇23日◇横浜

 DeNA三浦大輔投手(39)が、今季2戦2敗だった阪神藤浪との投げ合いで初めて勝った。7回1/3を投げて8安打4失点。制球に苦しんだ新人とは対照的に身上の粘り強い投球で5勝目を挙げた。今季最多の2万8601人が詰め掛けた本拠地では今季初勝利。チームに3週間ぶり連勝をもたらした。

 DeNA三浦は今年初めて横浜のお立ち台に立った。ちょっと照れた。「今年は横浜で勝ってなかったので。最高の景色です。ようこそ横浜スタジアムへ」と声を張り上げた。実は8回途中4失点でのヒーローインタビューには、少し気が引けた。それでも三浦コールが背中を押してくれた。

 立ち上がりは低めに決まったと思われた球が、2球続けてボールと判定された。3球目の変化球がやや高くなり、西岡に中堅左へ二塁打を許してしまう。荒波の好守でピンチを切り抜けると、3回には新井良、西岡にソロ2本を許したが、厳しい条件の中で自己最速155キロをマークした藤浪との根比べを制した。最速142キロでも無四球で8回までしのいだのが経験の差だ。友利投手コーチからは「ジャッジに左右されない精神力を持っていますから」と褒め言葉を送られた。

 しかし、精神力は強くても体は正直だ。今年の12月で40歳になる。その部分では19歳の藤浪がうらやましいかもしれない。「僕だって若いときは、こんなことしてなかったよ」と苦笑いをしたのがウオーキングのルーティンだ。この日も同じ試合開始5時間前から黙々とスタンドを歩いた。ビジターでも対戦相手の若手と同じ5時間前に階段の昇降を含め歩いている。登板のあるなし、体調により時間や強弱などに変化をつけながら。「10年ぐらい前からかな。そうしないと体が動かないんだよ」と言う。アンチエイジングの地道な闘いが選手生命を延ばしている。

 中畑監督も素直に感嘆していた。「(ジャッジは)厳しくて乗り切れない感じだったけど、その中でゲームを作れることを実証できた。根気よく投げるピッチャーだね」と脱帽。根気よく毎日、10年以上もアーリーワークを続けることに比べたら、ストライクゾーンなんて小さいことかもしれない。【矢後洋一】

 ▼DeNA三浦が阪神戦で通算46勝目。阪神戦通算勝利の歴代5位に並んでいた秋山登(45勝)を上回り、DeNAの投手では最多になった。三浦は40歳を迎えるシーズンで5勝目。チームで40歳シーズン以上の5勝は、工藤公康が44歳シーズンの07年に7勝を挙げて以来2人目。