<ソフトバンク3-4日本ハム>◇4日◇ヤフオクドーム

 苦しみながらも勝った。今日5日に19歳の誕生日を迎える日本ハム大谷翔平投手が、2勝目をマークした。2回以外は走者を背負ったが、最速155キロの直球に100キロ前後のスローカーブの緩急で5回2/3を6安打1失点。6月1日中日戦以来、33日ぶりの白星で登板した5試合は不敗。チームはソフトバンクに7連勝で3位に浮上した。

 祈りは、通じた。大谷は立ち上がってベンチを飛び出すと「すいません」と頭を下げた。自ら招いた6回2死満塁のピンチ。バトンを託した石井が、無失点で切り抜けてくれた。「調子はよくなかったです。援護がなかったらどうなっていたか…。チームのいい雰囲気に助けられました」と自己採点は厳しかった。被安打6は投手デビューした5月23日と同じで、4四球は自己最多。球数も1軍では最多となる107球だった。

 闘争心むき出しに、リベンジを果たした。1回無死一、二塁。前回対戦で直球をバックスクリーンまで運ばれた内川を、150キロの内角直球で一ゴロに仕留めた。「インコースに思い切っていこうと思いました」。松田の三直を挟み、同じく1週間前に直球で被弾した長谷川も、153キロで空振り三振と意地を見せた。

 2死一、三塁と走者を背負った3回にも、この日最速の155キロをマーク。得点圏に走者を置いても、安打を許したのは6回ラヘアの場面だけ。得点圏の通算被打率は1割2分5厘(24打数3安打)と、大崩れはしない。

 負けるわけにはいかなかった。疲労を考慮し、6月29日の西武戦を最後に野手としての出場は見送られた。12球団一多い移動時間も、うまく使えるようになった。疲れを感じれば睡眠を、そうじゃなければ読書にあてる。ヤンキース黒田の著書を愛読中。広島への愛を断ち切って海を渡った大先輩の思いは、興味深かった。背中を追うために、この日もまた1歩、プロ野球選手として前に進んだ。

 好投したことから、次戦は14日ロッテ戦(札幌ドーム)の先発が濃厚だ。今日5日は19歳の誕生日。「いい形で(誕生日を)迎えられる。明日も勝って、もっともっと連勝したい」。代打出場が濃厚なバースデー当日は、バットでの祝砲を狙う。【本間翼】

 ▼大谷が5回2/3を1失点で2勝目。日本ハムの高卒新人で開幕2連勝は05年ダルビッシュ以来だ。大谷は5試合で24安打されているが、得点圏に走者を置いた場面では24打数3安打で被打率1割2分5厘。適時安打は5月23日中村(ヤクルト)6月26日松田(ソフトバンク)7月4日ラヘア(ソフトバンク)の3本しか許していない。05年ダルビッシュは2連勝止まり。得点圏で打たれない大谷が、日本ハムの高卒新人では62年尾崎(6連勝)以来となる開幕3連勝に挑戦する。