マッド・ドッグかシーサーか。中日高木守道監督(71)が8日、新助っ人ワーナー・マドリガル投手(29=ダイヤモンドバックス3A)を新セットアッパーに指名した。来日2試合で3回0封の内容を評価。独特の風ぼうに、沖縄地方の守り神「シーサー」の新愛称まで進呈した。今日9日から沖縄での阪神2連戦で、シーサー・マドリガルが勝利の方程式に組み込まれる。

 自力優勝消滅から一夜明け、高木監督はネバーギブアップだった。阪神と戦う球団史上初の沖縄での公式戦に、名古屋から空路那覇入り。奇跡の道先案内人に指名したのが、新助っ人右腕マドリガルだった。

 高木監督

 いいんでね。8回にもっていこうと思っとる。後ろに回って嫌なことが多い中田は代えてやった方がいいだろうしね。

 6月の来日後、2軍戦はいまひとつで「名前も覚えとらん」と期待薄だった。“ダメもと”で1軍に昇格させると、140キロ台後半の真っすぐを武器に、2試合3回を無失点。現金な監督らしく?

 善は急げのセットアッパーご指名だ。逆襲への新方程式は7回中田賢、8回マドリガル、9回岩瀬。辞令代わりに、ニックネームを手渡した。沖縄セルラースタジアム那覇での練習後、助っ人の顔をまじまじと見て言った。

 高木監督

 シーサーだな。

 たとえたのはなんと、地元沖縄の守り神だった。ブルドックにも似た愛嬌(あいきょう)あるいでたちは、確かにシーサー風だ。本人は来日以来「マッド・ドッグ(狂犬)と呼んでくれ」と希望しているが、鶴の一声でニックネームも変更か。ノリノリの監督は投法まで“シーサー化”するようリクエストした。

 高木監督

 いっぱい福が入ってくるように、口を開いとかんとあかんぞ!

 福を吸い込むために口を開けるシーサーのごとく、福を呼ぶ男になってくれ。ジョークには大きな期待がこもっていた。田島が6敗、岡田が3敗、そして中田賢が3戦連続被弾で2敗など、浅尾不在の今季は7、8回に救援陣が打たれての逆転負けが目立つ。それが監督いわく「勝てる展開を負けにしている」借金11の元凶だ。8回の男が固定できれば、逆襲態勢が整う。

 マドリガルも気合十分だ。「自分でも調子が上がってきてるのが分かるんだ。監督に任されたイニングでベストを尽くすぜ」。シーサーが虎をやっつけ、景気づけ。今日9日の阪神戦から文字通り、守道竜の守り神になる。【松井清員】

 ◆シーサー

 「獅子」の沖縄方言。沖縄地方では、伝説の獣の像を建物の入り口や屋根に据える習わしがある。右側に置くのが雄で、口を開いて福を招き入れる。左側が雌で口を閉じ、災難を入れないとされている。