<DeNA11-4ヤクルト>◇17日◇横浜

 DeNAが今季2度目の同一カード3連勝で前半戦を締めくくり、広島をかわして4位に浮上して前半戦を終えた。3-4の7回に6長短打と3四死球で一挙8点を入れて逆転した。昨季は前半戦終了時点で3位と11ゲーム差あったが、今季はわずか1・5差。目標のクライマックスシリーズ(CS)進出に向け、最高の形で弾みをつけた。

 前夜の再現を見るかのような集中打だった。1点ビハインドで迎えた7回。2死から多村が四球を選ぶと、ここから9者連続出塁で8得点。鶴岡、代打筒香、石川の連続適時打で一気に逆転すると、主砲トニ・ブランコ内野手(32)が30号3ランで畳み掛けた。前日16日は同じ7回に7点を奪ったが、それをさらに上回る波状攻撃。中畑監督も「まさにラッキーセブンだな」とご機嫌だった。

 昨季も前半戦はヤクルトに3連勝して締めくくっていた。しかし、今年は状況が大きく違う。昨年11ゲームあった3位との差が1・5ゲーム差。しかも4位に浮上して、前半戦を折り返した。中畑監督は「慣れない場所にきちゃったかな」と笑ったが、「後半戦に向けて弾みがつけられる勝ち方だった」と手応えをにじませた。

 打線のつながりが7回に凝縮されていた。2死からの諦めない攻撃。そしてブランコという絶対的な4番がいることで生まれた各打者の役割の明確化。高木打撃コーチは「実力者が4番にいることは大きい。その前に塁に出れば何とかしてくれる、という必死さが出ている」と分析した。1番石川も「ブランコに回せば何とかしてくれるという意識はある。とにかく自分の仕事は出塁すること」と話した。

 その言葉通り、“ラッキーセブン”にヤクルトにとどめを刺したのは、右翼席にライナーで3ランをたたき込んだブランコだった。「新しいチームに来て、自分の力を発揮してチームに貢献したいという思いが一番強い」。2死一、二塁で2ボールからの3球目。「配球を考えた。外にきた球に体が反応した」と、外角球を打ち返した。ベンチ、選手から全幅の信頼を集める男が、今季の躍進の原動力になっている。

 この3試合、全て逆転でものにした中畑監督は「1、2点取られても、今はベンチに嫌な感じはない。ヨッシャ、という感じで次の攻撃に入れる。それが大きいね」。雨の中始まった試合は、終了時にはやんでいた。5年連続最下位に沈み続けた負の歴史も、止まるかもしれない。【佐竹実】

 ▼ブランコが09、10年に次いで3年ぶり3度目の30本塁打。オールスター前の前半戦に30号到達は初めてで、DeNAでは08年村田以来5年ぶり2人目。今季はバレンティン(ヤクルト)も32発を打っているが、球宴前に複数選手が30号到達は、10年のブラゼル(阪神)ラミレス(巨人)阿部(巨人)以来3年ぶり5度目。