故郷岩手に凱旋(がいせん)する西武菊池雄星投手(22)が“花巻東投法”で自身初の2ケタ勝利に挑む。今日30日、4ゲーム差で首位を走る楽天戦に先発する。登板2日前ブルペンではノーワインドアップで投球練習。これまで大きく振りかぶっていたフォームに修正を加え「ランナーなしで四球を出すことが多くなったので、無駄な動作を省くためです」と説明。最速155キロを計測した高校時代のフォームに戻し、原点回帰する。

 岩手での登板は、11年8月31日以来。同じ楽天を相手に8回4失点でプロ初黒星を喫し「勝てる投手になって戻ってきたい」と悔しがった。プロ4年目の今季はチームトップ9勝と急成長し「あの時は常時137~138キロしか出なくて、かわす投球だった。力で押して、2年前と違うところを見せたい」と意気込む。

 県営野球場には思い出が詰まっている。小さいころ、西武松坂の登板試合に駆け付け、155キロを連発する姿に衝撃を受けた。「160キロを出した人もいる」と後輩の日本ハム大谷が“大台”を計測したことにも触れた。球速へのこだわりを強調したのは「岩手ではプロを生で見るチャンスが少ないから」。自分が味わったように、夢を見せる剛球を届けることが、育ててくれた故郷への恩返しになる。

 県内を舞台にしたNHK朝ドラ「あまちゃん」がヒット中。菊池は「60話目だけ見ました。盛り上がってるみたいですね」と歓迎した。郷土愛の強い左腕が、いつも温かく迎えてくれる地元ファンの期待に真っ向勝負で応える。【柴田猛夫】