<楽天3-5日本ハム>◇21日◇Kスタ宮城

 主砲不在の危機を、エースが救った。日本ハム武田勝投手(35)が、楽天戦(Kスタ宮城)で7回6安打1失点と好投。約1カ月ぶりとなる白星をつかみ、今季7勝目を挙げた。1回に4番中田が死球を受け、骨折退場のアクシデント。7月15日西武戦から勝ち星に見放されたが、貫禄の投球でチームを2連勝に導いた。

 ポーカーフェースの裏に、熱い思いがあった。武田勝が、待望の後半戦初勝利となる7勝目をつかんだ。主砲・中田が負傷交代の中、エースが安定感抜群の投球でカバー。7回6安打1失点にまとめた。「ケガはしょうがないこと。ここからはチーム全員でカバーしあって、もう1つ意識を高く持って1戦1戦やっていきたい」。仲間を思いやり、改めてエースとしての自覚を強くした。

 自問自答の日々で自分と向き合った。今季は開幕投手としてスタートを切ったが、開幕戦で負傷降板し期待を裏切った。先発陣の不調が相次ぐ中、エースの役割を果たせず、前半戦は6勝5敗。そんな自分を変えるため、スコアラーを通じ投球映像を入手。フォームや配球、コントロールなどを自己分析し続けた。

 自信と責任を持って臨んだ3日楽天戦。5回5安打無失点の粘投も、6回途中で無情にも交代が告げられた。納得出来ず、思い悩み、導き出した答えが「何かを言うのではなくて、結果を残してちゃんと投げさせてもらえるようにしないといけない」。吹っ切れたように、確信した。

 思いの丈を、ボールに込めた。「本当に勇気を持って内角を攻めていけた」。くしくも、この日の相手はプライドを傷つけられた一戦と同じ楽天。栗山監督は「あの悔しさはとてつもない悔しさだと思う。鬼気迫る感じが伝わってきた」と、投球姿に胸を打たれていた。チームとしては、首位相手の同一カード3連勝に王手。「投」の要が、混パ上位争いに導く。【田中彩友美】