左手第5中手骨の亀裂骨折で戦線離脱している日本ハム中田翔内野手(24)が11日、札幌市内の病院で定期検査を受け、経過が良好だったことから、両手での素振りを再開した。1週間後には本格的な打撃練習が可能になる見込み。28本塁打は、依然として同僚のミチェル・アブレイユ内野手(34)と並ぶリーグ最多をキープしている。念願の初タイトル獲得へ向けて、今月下旬の1軍復帰が見えてきた。

 中田が、広い札幌ドームのグラウンドを見渡しながら真顔でつぶやいた。「迫力に欠けるよなぁ…。やっぱ、俺がいないと」。左手を亀裂骨折してから、ちょうど3週間。日本ハム打線を客観的に見た、素直な感想だった。1軍登録を外れた8月22日以降、4番を欠いたチームは、上位浮上を狙うどころか黒星が先行している。「(大谷)翔平とか若い子たちが頑張っていてすごくいいと思うけど、俺がいたらどうにかできたという試合も何試合かあった」と、もどかしい思いをはき出した。

 この日の午前中、札幌市内の病院でエックス線検査を受け、骨がくっつき始めていることが確認された。固定装具が外れ、午後からの全体練習後にはベンチ裏で両手を使った素振りを再開。「痛みもないし感じは良かった」。チームの勝利を見届けると、足取り軽やかに球場を後にした。

 明日13日から再び2軍施設のある千葉・鎌ケ谷で調整を行い、ボールを打ち始めるのは1週間後の見込み。本格的な打撃練習再開後、様子を見ながら1軍復帰の時期を探る。「明日(12日)からでも試合に出したい」と切望する栗山監督は「俺の中で日にちは設定してある」としており、順調なら今月下旬に戦列へ戻ることができそうだ。

 28本塁打でリーグトップに並ぶ同僚アブレイユは、中田離脱後、18試合で2本塁打止まり。「他のチームの人が取るなら、アブちゃんに取ってもらいたい。心から“おめでとう”と言ってあげられる」と口にした中田だったが「30発は打てるんちゃう?

 (復帰後)残り10試合ぐらいか…どうかな」と、本音をチラリ。「(1軍で)出るなら代打じゃなくて、いきなりスタメンやろ」。射程圏内にいる限り、手に届きそうな勲章も諦めない。【中島宙恵】<中田

 骨折後の道のり>

 ◆骨折

 8月21日の楽天戦(Kスタ宮城)の1回、美馬から左手甲に死球を受け、2回の攻撃中に代打を送られて途中交代。仙台市内の病院で検査を受け、左手第5中手骨の亀裂骨折と診断される

 ◆抹消

 翌22日に出場選手登録を抹消される。札幌市内の病院で再検査を受け、全治4週間と診断される。26日まで自宅静養しながらアイシングや超音波治療を施す

 ◆練習参加

 同27日、故障後は初めて札幌ドームで西武戦前の試合前練習に参加。ランニングなどの運動を再開

 ◆再検査

 同29日、札幌市内の病院で再検査を受けた後、2軍施設のある千葉・鎌ケ谷でリハビリを開始するため空路で移動

 ◆リハビリ開始

 同30日、鎌ケ谷でリハビリを開始。右手のみのティー打撃やランニングなどを行う。骨折完治までの禁酒も宣言

 ◆打ち上げ

 8日、鎌ケ谷でのリハビリを一時的に打ち上げ札幌へ戻る

 ◆報告

 10日、約2週間ぶりに札幌ドームに訪れ、栗山監督らに現状報告