<オリックス2-9ソフトバンク>◇1日◇京セラドーム大阪

 ソフトバンク長谷川勇也外野手(28)が先制タイムリーを含む3安打猛打賞で、チームを20安打9得点の圧勝へ導いた。自身はシーズン196安打とし、史上6人目の200安打まで残り4本。今日2日から西武2連戦(西武ドーム)に連勝すれば5年連続のクライマックスシリーズ(CS)進出が決まる。「ハセメーター」がその原動力だ。

 来た、来た。カチッ、カチッと正確に刻む「ハセメーター」が「196」を表示した。「微調整がうまくいって久々に懐が広く感じた。久々に自分の中でいい感覚があった。これを継続してやっていきたい」。3安打固め打ちした長谷川は珍しく好調宣言し、笑顔でカウントダウンに入った。

 1回の左前適時打は低め、見送ればボールになりそうな直球を逆方向へ。3回2死無走者でも外へ逃げる速球を引きつけつつ、力負けしないでレフト線深くへの二塁打。4連打で2点を勝ち越す起点になった。

 前サイドの右肩がぎりぎりまで開かず、後ろサイドでくるりと回って打つ。自分の型が崩れないからヒットの可能性が高まる。信条がある。「結果が出ていることだけを見ると、その過程を見失う。ヒットを打つ、打たないではなく納得のいくスイングができたかを先に考える」。

 欠かさないのは球場ミラールームでの「対話」。ただし相手は鏡の中でバットを握る自分だ。シーズンが進めば体も変わるが、藤井打撃コーチは「疲れで可動域が変わってフォームが崩れてもすぐに修正でき、その時間が短い」と語る。「旬」のスイングをつかまえる能力が高く、疲労のたまる8月、9月で無安打は4試合ずつしかない。

 今回は“外弁慶”の持ち味も出た。「昨日考えていたら浮かんできた」。詳細は伏せたが打撃のヒントを得た。実は、長谷川はホーム打率3割3分1厘に対し、ビジターは3割6分2厘と3分も高い。「ビジターだとひらめきの回数が多いんで」。宿舎ホテルの部屋でバットを握る時間がたっぷりある。眠ろうとベッドに潜ってからピンときて、寝間着のままバットを構えることも。敵地の方が、漫画一休さんのような口癖「ひらめいた!」が飛び出す確率が高いのだ。

 首位打者と最多安打をほぼ確定させている安打製造機が打線をけん引し、3連勝。2位ロッテに0・5差と迫った。「打線がよく打ったよ」と秋山監督。西武とのCS進出をかけた2連戦に勢いよくぶつかる。旬を迎えた男が、その一打、一打でチームの未来を開いていく。【押谷謙爾】