<アジアシリーズ:キャンベラ3-6楽天>◇17日◇予選リーグB組◇桃園

 星野チルドレンの新候補が誕生した。楽天小関翔太捕手(22)が2回1死満塁で走者一掃の先制3点二塁打を放ち、この試合のMVPに選ばれた。4年目で1軍出場はまだなかったが、スタメンマスクに抜てきした星野仙一監督(66)の起用に応えた。楽天は2戦全勝で予選リーグB組を1位で通過。19日にA組2位の統一(台湾)と準決勝を戦う。

 会見場の壇上に座ると、小関は右隣の星野監督からほほえまれた。MVPの感想を求められたが「最少失点に抑えるのが僕の役目。打てたことはうれしいけど、失点したことを次に生かしたいです」と表情を変えなかった。2回1死満塁で左翼線二塁打を放ち、先制の3点をもたらした。守っては、先発永井を引っ張った。ただ、5回1死から3点を失ったことを悔やんだ。これには、星野監督も「捕手として当たり前のこと」。反省が残るのも、良い経験をした裏返しだ。

 初対戦相手に工夫した。「国際試合はカーブが有効だと思った。ダルビッシュさんもそう」と、好きで見ていたメジャー中継にヒントを得た。メジャーのように強振スタイルのキャンベラに対し、緩急のリード。「永井さんのカーブを多めに」と、右腕の得意球を生かした。打撃では「2軍で初球から行けと教えられている」と、初球ファウル後のスライダーを捉え、先制打を放った。

 4年目で1軍出場はない。それでも星野監督は「せっかくの機会を大事に使いたい」と抜てき。国際試合で経験を積ませた。5回の失点場面は「永井が首を振った。小関は若いからリードを通せない」と冷静に指摘。それでも、総合的には「ワンバウンドも止めたしね」と合格点を与えた。その小関は「嶋さんは信頼されている。信頼がないと、投手に良い球を投げてもらえない。プロに入った以上、サブのまま終わりたくない」と、正捕手超えを目標に掲げた。日本一は、銀次、枡田、岡島ら“星野チルドレン”の力が大きかったが、新たなチルドレンも台頭してきた。