久保引き留め失敗で虎ど~なっちゃうの!?

 阪神からFA宣言していた久保康友投手(33)が2日、DeNAへの移籍を決断した。来季先発の一員と計算していた久保の流出で、阪神は人的補償や交換トレードの検討など緊急対策を強いられた。和田豊監督(51)は今季不調だった岩田、榎田の奮起を期待。チームの総力を挙げて、ポッカリ空いた穴を埋めに行く。

 恐れていた事態は現実になった。FA宣言していた久保がDeNA移籍を決断。この日の朝、代理人を通じて連絡が届いた。残留交渉を重ねた高野球団本部長は無力感をにじませた。

 「監督から戦力だから何とか引き留めてくれと話もあった。同じセ・リーグだし、非常に悔しい。球団も非常に残念ですし、個人的にもチーム、球団、ファンに申し訳ない」

 韓国最強のストッパー呉昇桓(オ・スンファン)獲得に成功した喜びもつかの間、和田阪神に懸案が降りかかった。今季のリリーフ起用では結果を出せなかったが、10年に14勝を挙げるなど先発で安定していた久保は来季はローテーションの一角に計算していた。引き留めに失敗し、戦力構想の見直しを強いられる。まずは人的補償の検討だ。

 久保は推定年俸1億2000万円でBランク。DeNAが提出する名簿の中から選手1人を獲得できる。高野本部長は「時間がかかると思う。ゆっくり考えさせていただきます」と否定しなかった。また「中村GMと相談して外国人(枠)をもう少し膨らませた方がいいのか考える。ゆっくりしていられない。トレードは見返りも必要で、よく考えないといけない」と続けた。助っ人、緊急トレード…。あらゆる方策を視野に、先発投手の補強を検討する。

 対策が急がれる。和田監督は「3本柱(能見、藤浪、メッセンジャー)はいる。あとは岩田、榎田あたりがしっかりしてくれれば」と期待した。今季2勝の岩田、4勝の榎田を名指しして、奮起をうながした。秋山、岩本ら若手の成長も大切だが、ドラフト最上位の左腕コンビが本来の力を発揮すれば、久保不在の影響も少なくなるとの計算だ。

 和田監督が慰留し、中村GMは交渉で今季の抑え起用を謝罪…。なりふり構わない熱意は実らず、来季からは敵になる。高野本部長は「久保君を打倒してほしい。厳しい世界のおきてです」と言った。きらびやかなクリスマスムードにも浸れず、急ピッチで戦力整備に入る。【酒井俊作】

 ◆阪神の現有戦力と補強

 公示された保留選手名簿には久保を含めて投手26人、野手31人の計57人が記載された。ドラフトでは左腕3人、野手3人の6選手を指名し、すべて仮契約した。新外国人として呉昇桓投手(31=韓国サムスン)、マウロ・ゴメス内野手(29=ナショナルズ)と契約合意に達している。ロッテから自由契約となった吉見祐治投手(35)も獲得。FA獲得を目指した中田賢からは断られた。現時点で投手30人、野手35人、計65人の布陣。

 ◆プロテクト

 DeNAは保有する支配下選手のうち、外国人選手と任意に定めた28人を除いた選手名簿を阪神に提出する。公示されたDeNAの契約保留選手名簿のうち、ホルヘ・ソーサ投手(36)エンジェルベルト・ソト投手(31)トニ・ブランコ内野手(33)を除いた投手27人、野手26人、計53人から28人をプロテクト。阪神は25人の中から人的補償の可能性を探る。