来年は思い出のキャンプ地から始動だ。ソフトバンク内川聖一外野手(31)が5日、1月に宮崎・日向市で1次自主トレを行うと明かした。小学生時代に初めて見学したのが近鉄の日向キャンプ。プロを目指した“原点”からV奪回、安打量産に向けて体力強化を図り、故郷大分での2次自主トレで仕上げる。この日はヤンキース・イチローと再会し、パワーをもらった。

 打率3割を6年続けるバットマンも昔は野球少年だった。父一寛さんに初めてキャンプ見学に連れていってもらった内川少年は、目の前で躍動する猛牛ナインに大興奮した。今も鮮明に覚えている。「小学2年か3年の時でしたね。『大分から来ました~』と言ったら阿波野さんと鈴木貴久さんからボールをもらいました。今回、縁あってその施設を使わせていただきます」。当時の近鉄は本塁打王3度のブライアントやドクターKこと野茂らを名将仰木監督が率いた。プロへの憧れを抱いた日向キャンプ。懐かしの場所から新春トレを始めることを決めた。

 室内練習場があり、「おんせん県おおいた」出身として重視する温泉も市内にある。気候も温暖と環境はばっちり。「暖かいところで動き始めたかったので。今年はWBCもあって早めの調整でしたが、じっくりスタートできます」。06年以降、国内プロ球団がキャンプ撤退した日向へ恩返しもする。約2週間の滞在中には、野球教室を開き、かつての自分が心躍らせたように、地元の少年たちと触れ合うつもりでいる。

 その後は、恒例となる大分での2次自主トレに突入。来季は2段階方式で春季キャンプへの下地をつくる。「いつまでも満足することはない」。さらなる安打量産を目指す内川はこの日、契約するアシックス本社(神戸市)を訪れた後、ほっともっと神戸へ。お目当ては自主トレ中のヤンキース・イチローだった。「あいさつに来ました。WBCの走塁のことをイチローさんも言ってくれたりしたので。元気そうでしたよ」。世界のヒットメーカーに「よく来てくれたなあ、ウッチー」と歓迎され、テンションアップ。来季に向けて最高の充電となった。

 今月中旬には北海道で陸上クラブの練習に参加するなど、探究心たっぷり。自主トレの場所や方法もしかり。現状に満足しない。打線のキーマンはオフも忙しく動き回る。【押谷謙爾】