マー君超えで、マー君に並んだ。楽天則本昂大投手(22)が6日、仙台市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、4800万円アップの年俸6000万円で一発サインした。5倍増は、球団の新人としては08年田中将大投手(25)の4倍(1500万円→6000万円)を超える歴代トップ。2年目で6000万円到達は、田中と並ぶトップタイだ。今季15勝の新人王は、2年目も活躍を誓った。

 来年が午(うま)年・年男の則本は、カメラマンのリクエストに笑顔で応じた。馬のかぶり物を手渡され、最初は「勘弁してくださいよ」と苦笑い。だが、手に持つだけと聞かされ、快く両手をすっぽり差し込んだ。競走馬のように駆け抜けた1年だった。増額幅を聞かれ「5倍ほどです。一番高く評価したと言っていただいた。内容の濃い1年が、ようやく終わったなあと思います」と答えた。

 新人で5倍アップは、田中を抜いて球団歴代トップ。開幕投手を務め、15勝で新人王に輝き、CS、日本シリーズでも好投した右腕に、ふさわしかった。一番印象に残る試合を聞かれたが、その答えが来季への決意を示していた。「レギュラーシーズン最後に投げた試合です。オリックスの伊藤さんからフォークで三振」。開幕戦でも、初勝利でも、10勝目でもなかった。既にリーグ優勝を決めた後、5回無失点で15勝目を手にした10月12日を挙げた。

 その1球とは、5回に伊藤から空振り三振を奪ったフォークのこと。シーズン終盤まで封印していた決め球が「使える」と感じた瞬間だった。「あの空振りがなければ、ポストシーズンのフォークもなかった。今後のプロ野球生活においても大きな1球でした」とまで言った。CS、さらに日本シリーズでは先発、球宴と、フル回転で日本一に貢献。その土台を築いた。

 もっとも、すぐに「CS、日本シリーズはフォークのデータがないから打たれなかった。来年は相手も研究してくる。対応を見て考えます」と続け、慢心はなかった。“2年目のジンクス”にも「今年と同じ気持ちでいけばいい」。来年1月には「最高のお手本」と慕う田中と自主トレする。今年同様、ひたむきな気持ちで「2ケタ勝利、防御率2点台」の来季目標を果たすつもりだ。【古川真弥】

 ▼楽天則本が4800万円アップの6000万円で更改した。入団2年目の6000万円は08年田中(楽天)に並ぶ歴代4位タイ。2年目の昇給額4800万円も4位で、田中の4500万円を上回る球団史上最高となった。新人の昇給率400%以上は05年三瀬(ソフトバンク、400%)以来6人目で、楽天新人では過去最高の田中(300%)を超えた。