こんぴらさん、御利益ください-。阪神秋山拓巳投手(22)が23日、年明けに、香川・金刀比羅宮の石段を駆け上がるトレーニングプランを明かした。

 「中西さんから言われたんです。こんぴらさんを1日3往復、朝昼晩と奥社まで登ってこいって。足腰は鍛えられますね」

 若手の先発ローテ入りを期待する中西清起投手コーチから指令を受けていた。「こんぴらさん」の愛称で親しまれている金刀比羅宮は、長い石段が続くことでも有名。毎年「こんぴら石段マラソン」が開催されるほどだ。香川生まれの秋山にとって、なじみ深いところでもある。「今年の初詣もいとこと参りました」と金刀比羅宮近くに親類もいる。奥社までは1368段、約6キロ。冬の宿題として、この道のりを1日3回往復する特別メニューが課されていた。

 今季はあと1歩が足りなかった。8試合に先発したが結局、1勝もできずに終わった。5回まで順調に無失点で抑えていても、その後に打たれ失点を許す場面が何度かあった。秋山も「6回からが課題です」と漏らしたこともあった。過酷な石段上りは下半身強化だけでなく、忍耐力アップ、さらにパワースポットの恩恵を授かることもできそうだ。

 来季は同い年の新人が阪神だけではなく、プロ野球界に数多く入る。「まずは先発ローテ入りです。自分は自分なので」。1歩1歩、1368段の石段を踏みしめながら、5年目の勝負に出る【宮崎えり子】

 ◆金刀比羅宮(ことひらぐう)

 香川・仲多度郡琴平の琴平山(象頭山)の中腹に鎮座する神社。本宮は石段785段、海抜251メートルのところに建つ。御祭神は大物主神(おおものぬしのかみ)と崇徳天皇。奥社と呼ばれる厳魂神社は、1368段上った海抜421メートルのところにある。農業殖産、漁業航海、医薬、技芸など広範な神徳を持つ神様が祭ってある。参道の両脇に讃岐うどんの店などが並ぶ。映画「瀬戸内少年野球団」や「男はつらいよ寅次郎の縁談」などのロケ地にもなった。