リョウマが高速の進化ぜよ!

 阪神松田遼馬投手(19)が14日、鳴尾浜のブルペンで今年初めて変化球を投じた。「去年よりレベルアップした」と実感する切れ味鋭い高速スライダーも披露。新守護神、呉昇桓につなぐ「8回の男」を期待される3年目右腕が、猛烈にステップを駆け上がっている。

 気温が上がりきらない鳴尾浜のブルペンから「いいね!」と声が響いた。松田の高速スライダーを受けた育成原口の声だった。

 キャッチャーを中腰に構えさせて、ミットを目がけて25球を投げ込んだ。直球、カーブ、スライダー…。年明け、初めてブルペンで変化球を投じた。中でもスライダーは、球速が遅いものと速いものを投げ分けてみせた。鮮烈な1軍デビューを果たした昨年も使用していた球種はキレを増し、「決め球」になる武器へと進化した。

 「速いスライダーは去年から投げているので、どうってことはない。去年よりレベルアップをしていきたい。それは全部の球種でのレベルアップを考えている」

 「8回の男」へのステップアップだ。昨年ブレークした結果に満足せず、さらなる成長を望んだ。シーズンが終わった後、連投などの疲れで途中離脱したことを反省。さらに「昨シーズンは抑えられていたけど、今までのスライダーだけでは打たれてしまう」と分析した。

 2年目のオフは体力強化とフォークの習得を掲げた。年末には長崎の実家に帰る前に、オーバーホールを行った福岡の病院にも向かった。シーズン序盤に痛めた右肩のケアや強化を徹底した。

 視察した山口投手コーチは「オフにしっかりやってきとる。同じ球種でもタイミングを外せたら武器になる」と目を細めた。3年目のシーズンに向けて、進化する球種が視界を開く。「キャンプまでには鳴尾浜で、キャッチャーを座らせて投げる」と松田。順調な仕上がりで、2月1日のキャンプインを迎える。

 何度も口にした「開幕1軍。1年間、活躍する」。勝利の方程式の一角へ-。“鉄腕”リョーマが高速で進化し続ける。【宮崎えり子】

 ◆高速スライダー

 カットボールと呼ばれるものもある。代表する使い手は広島前田、レンジャーズ・ダルビッシュ、メッツFA松坂、ヤクルト伊藤1軍投手コーチなど。横変化や縦変化など軌道は人によって異なる。スライダーと比べてキレと球速を重視させ変化量は減る。一般的に球速が140キロ程度のものが高速スライダーと見なされストレートの球速が速くないと投げられない。