NEW浜ちゃんが007を驚かせた。中日浜田達郎投手(19)が3日、今キャンプ初めてとなる打撃投手を務め、進化した姿を見せた。レギュラーを狙う高橋周平内野手(20)のバットをへし折るなど、打者2人に46球の強烈デモ。あまりの変貌ぶりに巨人&阪神のスコアラーもビックリだ。期待の左腕は、初実戦となる15日韓国・KIA戦(北谷)の“開幕投手”に名乗りを上げた。

 グシャリという鈍い音が北谷球場に響いた。打席で折れたバットを見つめていたのは高橋周。マウンドで仁王立ちしたのは1歳年下の左腕浜田だ。1軍未登板の19歳が期待のスラッガーに投じた2球目は、鋭く左打者の内角をえぐりスイングしたバットを砕いた。

 浜田

 僕がコントロールが悪いというイメージで(高橋周が)警戒していたんだと思う。あれはフルスイングじゃなかった。

 本人は謙遜したが、自信たっぷりの威力あるボールをズバッと投げる姿は昨季とはまるで別人だ。昨秋、リリース位置を下げ愛工大名電時代に名を売ったスリークオーターに戻した。軸がぶれなくなったことで課題の制球力もアップした。ゆったりとしたフォームから腕が遅れてくるように見えるフォームに高橋周も「見えづらい」と証言。左打者は特に打ちづらそうだ。

 敏感に反応したのはTGの偵察隊だ。阪神嶋田スコアラーは「横振りになってコントロールがつきそう。左打者の外角も角度がある」と進化を実感。巨人中里スコアラーも「思っていたより力強い球を投げていた。下半身もしっかりしている」とチェックした。この日の最速は139キロだったが、スピード表示では計れない威力があるようだ。

 これで第1関門、突破だ。今後は中2日で打撃投手、その出来次第でシート打撃に臨む。その先に待つのがチーム初実戦となる15日KIA戦だ。森ヘッドコーチは浜田を「バッターが立った方がストライクが入る。左が少ないし、1軍で投げるチャンスはある。ロング、リリーフ、先発でもどこでも」と実戦向きのスタイルを評価。15日の初陣についても「結果を見て決める」と“開幕投手”の候補者として位置づけた。

 浜田

 その場面で(先発を)任されたい。開幕1軍のためにも、結果を残してアピールしたい。

 阪神藤浪、日本ハム大谷と並び称された「ビッグ3」は本物か?

 1軍実績ゼロの浜ちゃんが、2年目の進化をマウンドで証明する。【桝井聡】

 ◆浜田達郎(はまだ・たつろう)1994年(平6)8月4日、名古屋市生まれ。愛工大名電では1年秋からエース。2年秋の神宮大会準優勝。甲子園は12年春に8強、同年夏1回戦敗退。12年ドラフト2位で指名され、中日に入団。昨季は2軍戦に20試合登板し、2勝8敗、防御率6・39。昨年12月には台湾ウインターリーグに派遣された。183センチ、90キロ。左投げ左打ち。