ミスターが「クール小林」を絶賛だ。巨人の宮崎キャンプ第3クール初日の11日、長嶋茂雄終身名誉監督(77)が訪問した。紅白戦の紅組「8番捕手」で出場したドラフト1位、小林誠司捕手(24=日本生命)は、第1打席の初球を左前打。守備も手堅く、上々のデビューを決めた。長嶋名誉監督は、こめかみをトントン指しながら「クールを持っている」と、得意の外来語を交え評価。極上の“異名”をもらったルーキーが1軍に食い込む。

 小林が1球で結果を出した。2回のプロ初打席、初球だった。「積極的に打ちにいこう」と決めていた。白組先発小山の外角直球に、ためらわずバットを出した。ルーキーらしい、イキのいいライナーで左前へ運んだ。入団から「課題は打撃」の定評があった。待ったをかけるのに十分な強い打球だった。

 これで乗った。マスクをかぶると、即戦力捕手らしい落ち着きがあった。先発宮国をリードするため、何日も前から動画検索サイト「You

 Tube」で投球フォームを研究していた。ベンチ前やブルペンでは、コンビを組んだ4投手と積極的に会話していた。「球種の優先順位を確認しました。とにかく投げやすい球を」。宮国を「投げやすかった。頻繁に低めと声をかけてくれた」と安心させる、周到な準備があった。

 打ち気にはやる打者には変化球を振らせ、俊足の松本哲が出塁すると、しつこくけん制球を要求した。初々しさと、周到な準備に裏打ちされたしたたかさ。「初球に結果が出たことが大きい」とプロの第1歩を振り返った小林が、ミスターには輝いて映った。帰り際、こめかみを指さし「クールを持っている。キャッチャーとして」と太陽の笑顔を振りまいて、続けた。

 長嶋名誉監督

 いいな、いいよ、いいね。肩がいいし、打球もいい。(配球の)使い方もうまい。

 代名詞の「3」にちなんだ3段論法で絶賛し、視察初日を締めくくった。

 原監督にも「非常に実戦的なプレーヤーですね」と映った。小林は「他にもアピールしなければいけないところはたくさんある。毎日が勝負なので」と言った。ミスターからもらった「クール小林」の異名を育んでいく。【栗田尚樹】