<オープン戦:阪神2-3巨人>◇9日◇甲子園

 左右の2枚看板で、日本一奪還ローテの土台を築く。甲子園での阪神戦に先発した巨人内海哲也投手(31)が4回を被安打1、1失点(自責0)と好投した。前日8日に好投した菅野は28日の阪神戦で開幕投手を務めることが決定的。安定感あふれるエース内海は、「火曜日の男」として6連戦初戦となる4月1日DeNA戦(横浜)での先発が有力視される。頼れる投手が2人いる場合、カードで分散させるのが巨人の王道スタイル。大事な「頭」を両取りする。

 常に一定で足を上げ、腕を振り、アウトを重ねた。内海がメトロノームのリズムを刻んだ。4回を投げ、被安打1、1失点(自責0)。2回以降はパーフェクトに抑えた。この日の甲子園は寒風が吹き荒れたが、阪神打線を無風状態でひねった。いつも自分に辛いエースが「リズム良く投げられたし、感覚的にも良かった。僕自身、収穫が多かった。続けていきたいです」と納得した。

 46球で降りた。仮に続投し何百球、何千球と投げても、不変を予感させる安定感だった。左腕の能力をフル活用する。28日の阪神との開幕戦は菅野の登板が決定的。内海は6連戦の初戦の4月1日DeNA戦(横浜)に送り込むことが有力視される。大事な6連戦の初戦で、計算通りに長いイニングを投げられる投手を置くのが定石。好不調の波がなく、06年以降で150イニング以上の投球回を7度も記録するエースに託すのが最も効果的だ。

 左右の両輪をカード別に分散させるのは、巨人の王道スタイルでもある。00年は上原が開幕投手を務め、2カード目の初戦は工藤。08年は高橋尚が開幕投手で、次カードの初戦は上原が起用された。相手に合わせるのではなく、胸と胸を突き合わせるのも原監督の信条。「菅野の存在は刺激になるが、決めるのは監督。僕は与えられたところで投げるだけ」と黒子に徹する内海がいれば、最高の形が完成する。

 内海について、原監督は「良かったんじゃないでしょうか」と全幅の信頼を寄せた。この先アクシデントなどがなければ、巨人の日本一奪還ローテの骨格が固まる可能性が高まる。雄々しく攻める菅野でロケットスタートを決め、豊富な経験と巧みな投球術の内海で引き寄せた勢いを盤石な形に変える。左右の両雄が屋台骨を支える。

 ◆巨人日程メモ

 交流戦まで合計15カード、44試合が組まれている。この間、昨年2位の阪神とは開幕を含め3連戦が3度あるが、3度とも週末の金~日曜。同じく3度組まれている中日3連戦もすべて週末(土~月曜が1度)。火~木曜のカードはDeNA戦3度、ヤクルト戦3度、広島戦1度で、昨年の内海はこの3球団に対して9勝2敗、防御率2・60の好成績を残している。