<オープン戦:阪神2-3巨人>◇9日◇甲子園

 虎の梅ちゃんが開幕1軍へグイグイッ!!

 阪神ドラフト4位の梅野隆太郎捕手(22=福岡大)が、またアピールに成功した。8回に代打で登場。豪快に左翼フェンスを直撃する適時三塁打をマークした。本拠地甲子園での初安打だ。持ち前の力強い打撃は高評価。開幕1軍メンバー入りも現実味を帯びてきた。

 わずかなチャンスで結果を残した者だけが、1軍に生き残れる。ルーキー梅野がまた輝きを放った。この日は控えメンバー。出番は8回だ。無死一塁で代打出場。土田が投じたカウント2-2からの5球目、内寄り変化球を豪快に振り抜くと、高々と左翼上空を舞う。高橋由がジャンプしても捕れない。本塁打性の打球は金網を直撃。あと30センチで柵越えする適時三塁打になった。

 梅野

 手応えはありました。入るか、入らないか。入ってくれと思って走りました…。走ることでいっぱい、いっぱい。いままで代打でチャンスをもらって積極的にいっても自分の思うようにならなかった。あの一打は良かったですね。

 本拠地甲子園での記念すべき初安打は、開幕1軍への強烈アピール材料だ。首脳陣は2月のキャンプ中から打撃を評価。この日も、和田監督の注文は「早く自分のところの投手を覚えてね」とリード面のこと。守備面での成長を見せれば、十分に1軍クラスだろう。ベテランの藤井、鶴岡のほか、昨季、出場機会が増えた清水も先発マスクをうかがう。捕手が過多気味で実戦出場の機会も限られている中、わずか1打席の勝負で、この日の虎打線では唯一の長打を放ってみせた。

 環境への適応力や心構えも、プロで生き抜く大事な要素だ。甲子園での打撃練習ではフィールドの広さを体感。「思った以上に簡単に入らない。自分は振ることの強さをもう少しレベルアップしないと。反発にもう少し押し込む力をつけたい」。身上としてきた強いスイングで勝負する軸はぶれず、スケールアップを心に期していた。

 この日は初めて伝統の一戦を体験したが「テレビで見ていた人たちが実際に相手でいる。不思議な感覚だけど。徐々に慣れている」と冷静だ。チームは宿敵巨人に敗れてオープン戦1分け6連敗。「シーズンを通して勝たないといけない相手。チームが負けたので悔しい」。新入りの甘えなどない。すっかり、プロの顔になっていた。【酒井俊作】

 ▼阪神の新人捕手が開幕戦に出場すれば、田淵幸一(法大)が69年4月12日大洋戦に代打で出場し三振して以来。スタメン出場すればドラフト導入後チーム初となる。12球団で新人捕手の開幕戦出場は、西武の炭谷銀仁朗(平安)が06年3月25日オリックス戦に先発して以来。セでは、巨人の阿部慎之助(中大)が01年3月30日阪神戦でスタメン出場して以来。また開幕1軍に入れば、阪神では07年の清水誉(関学大)以来。近年ではほかに、02年浅井良(法大)がいる。