<ロッテ2-2ソフトバンク>◇18日◇QVCマリン

 冷たい雨が疲弊した心身には酷だった。ソフトバンクが今季初の延長で引き分けた。エース摂津正投手(31)が8回まで無失点ながら、9回に2点のリードをチームが守れず。「勝ちきれなかったね。8回が良かっただけに。9回は高めにいったな」。秋山監督は三塁側ベンチ前で摂津の右肩を揉んで労をねぎらったが、エースに笑顔はなかった。

 雨風にさらされる厳しい条件で摂津は8回まで粘りに粘り、無失点。指揮官は9回も続投を決断した。1死から井口、大松の連続二塁打で1点を返され、2死三塁で四球を与えたところで五十嵐へ交代。結果はサブローに同点打を浴び、ドローへつながる。続投と継投。腹をくくったこの回2度の決断は実らなかった。

 2点差の9回に守護神サファテで石橋をたたく選択肢はなかった。4戦連続登板中の疲労を考慮し、この日は休養させる方針だった。奮投した摂津は「投げきらないと」と反省し、急場を請け負った五十嵐も「チームと摂津に申し訳ない」と責任を一身で浴びた。

 そもそもサファテ4連投の起点は12日オリックス戦。エース金子を攻略して6点差をつけながらの投入だった。6回から継投に入ったこの試合に関し、秋山監督は「相手はエースだし1点勝負。石橋をたたいていくしかない」と語っていた。ここが休養策への遠因となっていた。結局サファテは12回のマウンドへ。秋山監督は「今日は12回しかないと思っていた」と引き分け狙いの苦策を振り返る。無失点と仕事を果たしたが、5連投で今後の戦略に影響しそうだ。

 QVCマリンでは球団名を変更した05年以降、延長は1勝5敗6分け。またも鬼門と呼ばれる要素が増えた。今季先制すれば7連勝だった。必勝は途切れたが、かろうじて不敗神話を守った。【押谷謙爾】