<阪神4-1DeNA>◇18日◇甲子園

 DeNA中畑清監督(60)の怒りは試合後も収まらなかった。「足が入って上から追いタッチ。間違いなくセーフだと思う。(審判には)一番大事なものを見抜いてほしい」と、一気にまくしたてた。

 問題の場面は同点の6回だった。1死三塁で梶谷の二ゴロの間に三塁走者石川が本塁へ突入。タッチより速く滑り込んだかに見えたが、判定はアウト。中畑監督は「石川の(アピールする)姿を見たら、黙っているわけにいかない」。ベンチを飛び出し、約2分間、鬼の形相で抗議した。

 審判団の発言も怒りをエスカレートさせた。抗議中「もういいでしょう」「私たちも一生懸命やっています」などと諭され、さらにヒートアップ。「そんなのは分かってる。言葉を勉強してもらいたい」。勝利への執念から、不安定な先発加賀美を4回1失点で見切り、継投策を決断。打線が低迷する中での勝ち越し機だっただけに、引き下がるわけにはいかなかった。

 メジャーで導入されているチャレンジ(ビデオ判定)があれば-。「日本には合わない気がする」と話してきた中畑監督も、この日ばかりは「やってもらったら覆るんじゃない?

 当事者になったら、あったらと思うよ」とこぼした。それでも最後には「ごめんなさい」と、感情あらわに熱くなりすぎた会見中の発言を反省。冷静さを取り戻し、「悔しいけど、今はあそこから押し切れるチームのパワーが足りない。耐えて、ここを乗り切らないと」と足元を見据えた。借金11で迎える交流戦。気持ちを切り替えて、初戦の地、仙台へ乗り込む。【佐竹実】

 ◆大リーグ今季からの「チャレンジ」

 昨季まで本塁打限定だったビデオ判定の適用範囲が拡大され「ストライクかボールか」「スイングしたかどうか」などを除くほとんどのプレーが対象になった。監督はビデオ審議を求める「チャレンジ」の権利を持ち、判定が覆った場合は2度目の要求が可能になる。3度以上は求められないが、7回以降に責任審判員が必要に応じ利用することもある。大リーグ機構はニューヨークのスタジオで映像を確認し、1分半をめどに最終的な判定を伝える。