<オリックス3-1広島>◇23日◇ほっともっと神戸

 球界を代表するセ、パの最高峰右腕対決は、オリックス金子千尋投手(30)に軍配が上がった。8回まで7安打され、6回以外は走者を許しながらも無失点で4勝目。打っても7回に、広島前田からプロ初打点となる適時二塁打を放ち、さらに好守備も披露した。両リーグ首位決戦第1ラウンドを制し、存在感を見せつけた。

 金子が、塁上で会心の笑みをもらした。エースのプロ初の適時打は、2点リードの7回2死二塁から生まれた。そこまでの2打席は先頭打者でいずれも見送り三振。だが、このときは「伊藤が二塁打を打ってくれたので、とにかく振ろうと思った」と、広島前田の2球目の148キロ直球をフルスイング。打球はセンターオーバーの二塁打となった。「会心の当たり?

 打ったことがないので」と金子。プロ通算38打席目での初打点は、貴重な追加点となった。

 パ・リーグの投手は交流戦でしか打席に入らない。オリックスでも投手陣は交流戦の約2週間前から打撃練習を開始するが、そのほとんどはバント練習に割かれる。その中での見事な一撃。金子は「もうないと思いますよ」と言ったが、森脇監督は「打撃も好きだからね。なんとしても、もう1点もぎ取ってやろうと思ってたんだろう」とエースの打撃を高く評価した。

 投球でもエース対決を制した。前田との投げ合いに粘り勝ちだ。1回に2者連続ストレートの四球を出すなど、立ち上がりから苦戦、8回を7安打されながら無失点に抑えた。金子は「粘れは出来ましたが、もう少し走者を出さなくてもよかった」と反省したが、点を与えないのがエースだ。

 守備でもファインプレーを見せた。7回無死一塁で、木村の投手返しに反応。グラブを差し出しキャッチし、一塁走者も刺して併殺に切ってとった。「よけるのが大前提。グラブを出したら入ってくれました」。

 相手を意識しないのが金子のポリシーだが、セNO・1右腕の前田には「誰が見てもいい投手なので、意識しないといいつつ、どこかで意識していたかも」という。金子が二刀流、いや三刀流の働きで、エース対決に勝ち、チームもセ・パ首位決戦に勝利。パ首位を守ったオリックスには、頼もしいエースがいる。【高垣誠】