<日本ハム2-11巨人>◇12日◇札幌ドーム

 巨人に勝てない。日本ハムが今季3度目の2桁失点で完敗した。先発したルーキー浦野は5回7安打4失点でプロ初黒星を喫した。守備のミスなども出て2番手以降の投手も相手打線の勢いを止めることはできず、計16安打11失点。巨人戦は昨年から6連敗で、カード全敗は05年から始まった交流戦で球団初の屈辱となった。

 立腹の極みだった。栗山英樹監督(53)が怒りを突き抜けていた。ハイテンションで雄弁に語った。「こんな悔しい思いをしてバカみたい。(今後)何も得られなかったら」。4連勝と勢い十分で挑んだが、巨人に連敗を喫した。潔くスピーディーに脱帽。そそくさと三塁側ベンチから姿を消した。「久々、冷静じゃなかった」と一戦の傷心が、にじんだ。

 完全にほころんだ。2点を追う6回。致命的な自滅をした。1死一塁から、守備網が大決壊する伏線があった。亀井が左前打。右足のコンディション不良とされる中田が打球に全力チャージできない。鈍足の一塁走者の阿部にスキを突かれ三進を許した。「オレの体の調子分かってんのか」。中田は、思いの丈を激しく吐き出すほど懸命だと力説した。ただ、むなしく二、三塁とピンチを広げた。

 主力のワンプレーが、連鎖反応を引き起こす定説の象徴だった。直後は急造三塁手の近藤。本塁封殺が確実のゴロをファンブルする適時失策した。この回に2失点。負傷部分をアイシング治療し試合前練習は別メニュー。強行出場を続ける中田が、阿部の決死の思いにも負けた。「(阿部警戒の)意識があったのかどうか。それは聞いてはいないけれど」。肉体なのか、集中力なのか。栗山監督は真偽を迷ったが、痛恨シーンだったことだけは事実だった。

 重い1敗だった。交流戦がスタートした05年以降でカード全敗は初。07年から7年連続勝ち越し中と得意だが、生命線は投手を軸にした堅守と緻密な戦略だった。揺らぎつつある土台を露呈した。栗山監督は「かばう訳ではないけれど、いろいろなことがある」と中田をフォローしたが、本音も吐露した。「(全力で)やらなければいけない立場ではある」。今季図るチームの世代交代の旗手になる核がぶれると、厳しい戦いになる。【高山通史】

 ▼日本ハムが巨人に敗れ、今季4戦全敗。交流戦でのカード未勝利は05年巨人戦が●●△△●●で4敗2分け、12年中日戦が△●△●で2敗2分けと2度あったが、4戦すべて黒星は交流戦で初めてとなった。