<楽天6-7日本ハム>◇10日◇コボスタ宮城

 反攻態勢がバッチリ整った。日本ハムが楽天戦(コボスタ宮城)で、両チーム合わせて31安打の乱戦を制し、約1カ月ぶりに貯金を3とした。延長10回、近藤健介捕手(20)が決勝の適時打を放ち決着をつけた。1点ビハインドの9回には、小谷野栄一内野手(33)が同点の2号ソロ。今月に入ってケガから復帰した2人の粘りの一打で、今日11日からのソフトバンク戦(札幌ドーム)に弾みをつけた。

 ハチャメチャだけれど、ハッピーだ。伏兵祭りの大トリを、近藤が泥臭く飾った。延長10回2死二、三塁から、一塁側ベンチのチームメートたちがカーニバル状態になった。楽天のマウンドは、オールスターに初選出されて勢い十分の福山。北海道出身の歌手・北島三郎似で、愛称は「サブちゃん」の右腕でも容赦はしない。勝負に勝って、小鼻を膨らませたのは「コンちゃん」の方だ。内角に甘く入ったフォークを拾い、一、二塁間を強烈なゴロで抜いた。4時間16分の激闘に、ケリをつけた。

 泣ける思いを、吐き出した。力水の代わりの降り続けた雨のシャワーを浴びながら、浪花節で振り返った。「監督のために何とかしたかった」。指揮官が昨季から見いだした若手の逸材。「栗山ファミリー」の1人が、完全無欠のヒーローになった。三塁で先発出場。大野の負傷交代でマスクをかぶっていた市川が代打小谷野を送られ、9回に同点に追いついた。4月30日西武戦以来の捕手で、9回からマスクをかぶったのが近藤。直前の9回に捕逸でピンチを招いて冷や汗をかきながらしのぎ、自作自演で報われた。

 開幕から1軍で奮闘を続けたが一時離脱、復帰した直後での大役だった。6月17日に左太もも筋挫傷で出場選手登録を抹消され、今カード初戦から再び1軍へ舞い戻った。2軍でのリハビリ期間に、祭りの予兆?

 のようなストレス発散。球場内の屋台で、故障中のルーキー岡と焼きそばを買い食いするなどし、気を紛らわせることもあったという。「ケガしていた分、どうにか(活躍)と思っていた」。ソースではなく、反撃の香りをチームへと運んできた。

 反攻の起点へ、最高ムードへ向かう。今日11日からは2位ソフトバンクを本拠地3連戦で迎え撃つ。ゲーム差「6」を一気に詰める絶好機になる。「最後まであきらめない気持ちがベンチにあった」。栗山監督はシーソーゲームを制した勇壮な男たちを、たたえた。球宴前の前半戦は残り5試合。1点を追う9回、代打で同点弾と最高の働きをしたベテラン小谷野こと、愛称「栄ちゃん」は言った。「勝つと負けるのは大違い。ムードもいい」。熱い3番勝負で、予感漂う。年に1度の「WE

 LOVE

 HOKKAIDOシリーズ」。満員札止め、スタンドも狂喜乱舞の夏祭りを演出する下ごしらえは整った。さあ祭りだ、祭りだ…。祭りだよ~!【高山通史】

 ◆近藤の劇的打

 5月29日ヤクルト戦(神宮)で、2点を追う3回にバックスクリーンへ逆転満塁本塁打を放った。20歳9カ月での満塁本塁打は、東映時代の61年8月13日南海戦(ダブルヘッダーの1戦目)で張本勲が記録した21歳1カ月を更新し、球団史上最年少となった。5月29日もこの日の楽天戦もチームは15安打を放っており、打線が爆発すると、近藤も勢いに乗る?