<ヤクルト4-7広島>◇22日◇神宮

 広島がブラッド・エルドレッド内野手(34)の2発を含む5発で死闘にケリをつけた。4-4で迎えた延長10回に丸佳浩外野手(25)の12号2ランで勝ち越すとその後に、エルドラッドがこの日2発目となる32号ソロでダメを押した。8回には同点に追いつく31号ソロ。主砲が後半戦連敗のピンチを救った。

 コイの夏祭りはやはり花火が目玉となった。フィナーレもド派手な1発だ。10回表、3番丸の12号右越え2ランで勝ち越した直後。4番エルドレッドがネックレスを揺らしながら、木谷の低めフォークをたたきつぶした。弾丸ライナーで2打席連発となる32号ソロを左中間席に突き刺せば、神宮球場の左半分を埋めた赤ヘル党たちは大騒ぎだ。

 エルドレッド

 打つべきボールをしっかり打とうと思っていた。打てないボールに手を出してもダメだからね。

 2点ビハインドを背負って5回裏を終えると、夜空に約300発の花火が打ち上がった。鮮やかな眺めに違いなかったが、この日のハイライトシーンは先にあった。2点を追う7回1死、代打広瀬の左越えソロで1点差に迫る。8回、先頭の4番エルドレッドがカーペンターから2試合連続弾となる31号左越えソロを決め、試合を振り出しに戻した。この1発が劇的勝利の布石となった。

 E砲は7月12日に34歳の誕生日を迎えた。遠征先の名古屋に家族を呼び、なじみのレストランでお祝い。小さな愛娘2人からは手作りのネックレスを贈られた。「妻と娘から心のこもったプレゼントをもらったよ。他にも手作りのモノをもらったんだ」。父の日にもシルバーネックレスを贈られ、今回はやや黒みがかったお手製のネックレス。もちろん試合中も首にかけてプレーしていた。

 83試合を終え、キング独走の32発、84打点。シーズン55発、145打点ペースだ。ヤクルト・バレンティンが打ちたてた日本記録60発の更新も夢ではない。「3、4、5番がしっかり機能した結果、勝利につながった。自分たちの仕事ができた。中軸がしっかり打って勝てて、僕たちもうれしいよ」。主砲は決して浮かれることなく、納得顔でチームバスに乗り込んだ。【佐井陽介】