勝ちたければ主砲を冷やせ!?

 阪神マウロ・ゴメス内野手(29)が今日29日ヤクルト戦からの甲子園6連戦に備えた「酷暑対策」で真夏の陣を乗り切る。直射日光を避けるために屋内でウオーミングアップを行うプランがあるほか、スペシャルドリンクを用意。常夏のドミニカ共和国出身だが、初めて日本特有の夏を体験する。爽快に冷やすほど、大砲の火が噴くはずや~。

 肌にまとわりつく暑苦しい湿気が、優良助っ人の「大敵」になりそうだ。ゴメスは参っていた。常夏生まれといえども、7月下旬からの猛暑は予想外だったか。「日本は暑いね…」と言えば、オマリー打撃コーチ補佐は「まだまだだよ。本当の暑さは8月に来るから待ってろ!」と不敵に笑う。ゴメスは関係者にも「日本の夏をナメていたよ…」と漏らしていたという。

 開幕から好調を維持してきたが、いよいよ試練の季節だ。主砲のバットが逆転Vの鍵を握るだけに、これまで体調管理してきたトレーナー陣は、より細やかにケアする。29日からの本拠地ナイター6連戦は、炎天下の午後2時過ぎから試合前練習を行う。体力の消耗を防ぐためにも、調整方法をアレンジする方向だ。

 土屋トレーナー

 (広島から)外国人選手に関してはストレッチも屋内でやるようにしていた。甲子園では、センターのところでストレッチを行っていますが、室内練習場やクラブハウスでウオーミングアップすることも考えています。

 前日27日までの広島3連戦(マツダスタジアム)では、本隊が屋外で動き始めてもゴメスとマートンは姿を見せず。約20分遅れて屋外に現れて打撃練習や軽い守備などをこなすと、すぐにベンチに戻った。ゴメスが酷暑を乗り越える、主なポイントは2つある。

 <1>太陽と勝負するな

 練習では極力、外で体を動かさないのが大切だ。同トレーナーは「なるべく直接、太陽に当たらないようにするのが一番。太陽に当たるだけで体力は消耗します」と説明。今日29日からは甲子園室内練習場でのウオームアップも検討している。

 <2>飲んで勝て

 球団は、疲労回復に効果があるクエン酸の入った飲料を用意。また、脱水症状対策として経口補水液「OS-1」も採用する。電解質と糖質の配合バランスを重視したドリンクで浸透性に優れるとされている。「全身けいれんなどが起こらないようにしないと」と同トレーナー。26日には広島大瀬良が全身のつりで緊急降板。猛者も倒れる真夏のアクシデントを防ぐ。

 急に暑くなった広島では12打数2安打と振るわず。27日は2度の得点機で倒れた。「あまり活躍できなかったので、次のカードは貢献したい」。対戦打率4割1分5厘と得意にするヤクルト戦を見据えた。「ゴメスを冷やせ」を合言葉に、夏バテしないよう周囲もフォローする。【酒井俊作】

 ◆ドミニカ共和国の気候

 外務省によると、亜熱帯海洋性気候のため年間を通じて最高気温は30度以上、最低気温は20度程度で、年間平均気温は26度。年間平均湿度は80%で、日本の60~70%に比べるとより高温多湿。5~10月が最も暑く直射日光も強いが、そよ風が吹いていることが多く、無風状態が一日中続く真夏の大阪などと比較すると、日陰では涼しささえ感じることも多い。