<阪神4-3DeNA>◇2日◇甲子園

 敵将の猛抗議そっちのけで阪神ナインが歓喜の輪をつくった。今成亮太捕手(26)が右腕を天に突き上げる。祝福のウオーターシャワーを浴びて、ずぶぬれだ。ナインに肩を抱かれて劇的勝利に酔った。「1点は取れると思ったけどマートンが全力で走ってくれてサヨナラランになって本当に良かった」。今成はお立ち台で一気にまくし立てた。

 1点を追う9回1死満塁。今成が三上の甘い直球を捉えるとライナーで遊撃方向へ。二塁走者のマートンが慌てて帰塁しようとするほど打球は低かった。だが、左翼へ抜けボールが転々とする間に、三塁走者、さらにマートンも本塁へ突入。微妙なタイミングだが、判定はセーフだった。

 敗れていれば、4位DeNAに4・5ゲーム差に迫られていた。逆転Vを狙うどころか、クライマックスシリーズ進出圏内を争う立場になりかねない危機だった。ムードメーカーの今成が救ってみせた。ナインの打撃フォームのモノマネは爆笑モノ。ゴメスとはベンチ前でコマネチのパフォーマンスを演じる。実は、もう1つ隠れた特技がある。同僚と食事に出ればペンを執る。顔をじっくり観察して、そっくりの似顔絵を描き上げるのだ。「ナリは本当にうまい。芸達者だね」が虎戦士の共通意見だ。顔の輪郭やヒゲまで特徴をつかみ、そっくりに仕上げるのだ。

 最下位ヤクルトに連敗して迎えた戦い。下位を相手に取りこぼしは許されない。苦戦しながらもサヨナラ勝ち。明るいキャラクターらしく、虎に光をもたらした。【酒井俊作】

 ▼阪神のサヨナラ勝ちは甲子園球場90周年の8月1日DeNA戦、延長10回に福留が中前に適時打を放って以来、今季6度目でDeNA戦は3度目。また、逆転サヨナラ勝ちは今季初めて。また、今成はプロ入り初めてのサヨナラ打。