<ヤクルト5-3阪神>◇16日◇神宮

 虎よ、なぜなんだ…。せっかく連勝モード突入かと思った期待は神宮の夜に砕け散った。先発岩田稔投手(30)が、先頭打者に初球を本塁打され、6回にも逆転2ランをくらうとは…。2位広島が負け、1・5ゲーム差に再接近するチャンスを逸した。東都の虎党から厳しいヤジを浴びた虎ナイン。ここらで勢いつけんと、もう12試合しかないで!

 阪神ナインに汚いヤジが飛んだ。罵声と悲鳴のシャワーが容赦なく降りかかる。クラブハウスまでの道のりが、あまりに長い、つらい…。2位広島、4位DeNAがそろって負けた。漁夫の利のチャンスだった。にもかかわらず、最下位ヤクルトに1度は逆転しながらの痛い敗戦。東都の虎党のストレスも限界だった。沈んだ先発岩田を、指揮官も珍しく突き放した。

 和田監督

 前回(登板)の巨人戦の反省が生きていないな。(6回は)配球が読まれていた感じはあったけど。何回も言うけど、課題の立ち上がりをね。

 1回、先頭山田に初球を左翼席へ運ばれ、いきなりずっこけた。打線が反撃して1点リードで迎えた6回は先頭の川端に右前打を浴びて無死一塁。飯原には1、2球目ともに内角を攻め、ボールと見逃しでカウント1-1。3球目だった。バッテリーが選択したのは三たびの内角。139キロは低めへ沈んでいったが、読まれていた。前で払われた。悲劇の2ランがライナーで左翼スタンドに着弾した。

 岩田

 (甘くはなくても)結果打たれたので…。

 指揮官は7回の打席で迷わず代打を告げた。負けるわけにはいかない。6回4安打4失点、わずか93球で交代を指示した。6年ぶりの10勝目を目前に、これで4試合連続で足踏みだ。それどころか、これで8敗目。最高で5個作っていた貯金も、底が見えてきた。5回に打線が逆転し、期待を込めて送り出していただけに不満は募る。

 2位を諦めているわけではない。だがCSもにらむと、岩田の失速は不安材料だ。メッセンジャーの12勝に続き、藤浪と並んでチーム2位の9勝。今日先発の能見も復調気配があるとはいえ、岩田が4番手以内に入る投手であることに違いはない。それが立ち上がりに失点する悪癖を修正できない。3回には四球と盗塁、暴投で二塁から一気の生還を許して1点を失う独り相撲…。せっかく上げ潮ムードになったチームの連勝を2で止め、ブレーキをかけてしまった。

 勝負どころで、なかなか波に乗れない。来季の続投が白紙になった指揮官は去就についての話題に「今はとにかく1戦1戦という気持ちで、今日の試合ということに集中していきたい」と目の前の戦いに集中する姿勢を見せた。ファンが望むものは、戦う姿。強いタイガースが見たいのだ。【池本泰尚】

 ▼阪神は最短で20日に優勝の可能性が消滅する。今日17日から巨人が3連勝し、阪神が3連敗することが条件。21日以降の残り試合で巨人が全敗、阪神が全勝した場合、最終成績は両球団とも76勝67敗1分けで勝率5割3分1厘。阪神は今季の巨人戦で11勝13敗と負け越しが決まっているため、セ・リーグの規定により巨人を上回れない。