<日本ハム8-1楽天>◇1日◇札幌ドーム

 日本ハム吉川光夫投手(26)が、楽天打線を7回5安打1失点に抑え3勝目を挙げた。6回に失点したものの、無四死球でチームを5連勝に導き、金子誠内野手(38)の引退試合に花を添えた。今季苦しんだ開幕投手が、11日から始まるクライマックスシリーズ(CS)の登板へアピールした。

 意地を見せ、貫いた。吉川が序盤からリミッター全開で、ぶつかった。直球を軸に1、2回を3者凡退。6回に長打を浴び失点したが、耐えた。要所を締め7回5安打1失点で3勝目。課題の四死球は0と、付けいる隙を与えなかった。「勝負する気持ちを持って、ストライクゾーンで勝負出来た」。今季ラスト登板で納得のいく成果を残した。

 大先輩の有終の日に、感謝の花を添えた。この日は金子誠の引退試合。好守に救われ、波に乗ることが出来た。試合後には「ナイスピッチング」と声をかけられ、ホッとした。2軍暮らしが多かった今季。太陽の下で腐らず、汗を流す大ベテランの姿に力をもらうことがあった。「本当にお世話になった。ゲームを壊さず、勝ち投手になれて良かった」と特別な1勝をかみしめた。

 苦悩のシーズンは、終盤で実りを迎えた。前回9月20日の楽天戦では6回3安打無失点の好投。白星はつかなかったが3度目の再調整明け初戦で、復活の予感を漂わせた。逆転でのCSの先発ローテーション入りへ望みをつないだ。先発陣は大谷、メンドーサ、上沢らが有力。遅れはとったが左腕不在の現状はプラス材料になりそうだ。「今の状態をうまく保っていけたら」。今季の開幕投手がチームのために、最後の最後で一肌脱いでみせる。【田中彩友美】