阪神の「8番中堅」大和外野手(26)は侮れない。プロ9年目で初の日本シリーズ出場を控えても自然体だ。「プレーしたことがないので。(雰囲気も)分からない」と笑顔を見せた。CSは中堅の守備力を買われ、8番で全6試合に先発出場。20打数3安打、打率1割5分にとどまるが、表面的な成績に表れない貢献が光った。

 16日のCSファイナルステージ巨人戦。2点リードの4回2死走者なしで打席へ。凡退なら、次の回は9番投手からの攻撃。リズム良く攻めるためにも出塁したい場面だった。ここで沢村の直球を右前へ。「次の回は1番から打順が回るように、というのは意識しました。ヒットも大切だけど、塁に出ることが何よりも大事」。次打者の岩田が凡退して攻守交代。小気味よい流れで、5回は1番西岡から3点を奪った。

 主軸の猛攻がクローズアップされたが、お膳立てしたのは4回の大和の安打だった。試合前には関川打撃コーチと役割を再確認していた。「2番と8番は違うぞ。(走者を)かえす役割もあるから、少々のボールでも振っていけ。走者がいなければ投手まで回せ」。つなぐ意思が生んだ好打だろう。この日は2度、2死走者なしで安打を放ち、次の回は1番からの攻撃開始に導いていた。

 守備でもダイビングキャッチあり、強肩補殺あり、堅実さは際立つ。それでも「普段通りに求められたことをできるように」と冷静だ。しぶとい巧打好守のプレーヤーも日本一への道に欠かせない。【酒井俊作】