デーブ流地獄のキャンプ第1弾は「魔の16分」だった。楽天大久保博元監督(47)の就任後初の秋季キャンプが2日、岡山・倉敷市内のマスカットスタジアムで始まった。

 和やかな空気が、昼食をはさんでピリッと引き締まった。「魔の16分と呼んでるよ。選手には限界まで振ってもらう」。グラウンドに立ったのは伊志嶺、北川、内田の3選手。カーブマシンから間断なく投げられるボールを、とにかく打った。2秒に1球のペースで、振る、振る、振る。16分間ぶっ続けで繰り返される打撃練習に、10分すぎから選手は息も絶え絶え。前日1日に「相当、きつい練習となる」と予言していた通り、容赦はなかった。

 「スポ根」のような練習だが、しっかりとした理論がある。「疲れると自然と体が自分の打ちやすい形になる。体重移動もスムーズになるし、バットが自然と出て、タイミングの取り方が体に染みついていく」と説明した。遅い球を単純作業のように振り込み、しっかりと間をつかむ。西武のコーチ時代も行っていた練習法で栗山は16分間で、700スイングしたという。時間も15分が基本形だが、もう1歩頑張らせるための「プラス1」が加わって16分となっている。

 この日打席に立った選手は「最後までやれば自信になるし、振る力がつく」(内田)、「必死にやるとタイミングが分かる」(北川)と倒れ込みそうになりながらも手応えを口にした。大久保監督は「昔、鈴木啓示さんに言われたけど、今の野球選手は『込み』が足りない。振り込みや投げ込みは医学的にも効果がある。ケガをしないように相談しながら厳しい練習をする」と自信を見せた。全ては常勝軍団を作るため。日本一奪還へ、早くも厳しい練習が始まった。【島根純】