日本一のために、すべてをささげる。3年ぶりに古巣日本ハムに復帰することが決まった田中賢介内野手(33=前レンジャーズ3A)が17日、札幌市内の球団事務所で入団会見を行った。2年契約で総額3億円プラス出来高払い(金額は推定)。再び背番号3を背負う田中は復帰理由に「愛」と明言。かつて不動だった「二塁手」にはこだわらず、幅広くチームを支えていく考えを強調した。

 球団事務所へ足を踏み入れると「お帰りなさい」と迎えられた。田中が3年ぶりに、日本ハムのペットマークの前でフラッシュを浴びた。「ここが自分の家なんだなと思った。ひとことで言うと『愛』。それしかない」。古巣を愛する強い思い。「ファイターズに身をささげ、身を粉にして働こうと思っている。自分が一番チームに貢献できる場所、それをただやるだけ」。12年までの在籍時に定位置だった「二塁手」にもこだわりはみせず、献身的に支えていく覚悟を決めた。

 日本一となった06年に「二塁手」に定着。以降、3度のリーグVに貢献し、ベストナイン、ゴールデングラブ賞も5度獲得した。だが一方で、田中が海外移籍した13年からは世代交代が進み、中島、西川が急成長。二遊間の競争は激しくなる。「若い選手の成長は楽しみ」と話す田中は「勝つためなら何でもやる。勝つ野球がしたい」。メジャーのジャイアンツでは外野手として出場した経験もある。ひとつのポジションに固執せず、幅広く役割をこなすつもりだ。

 どこを守ろうが、大きな存在になれるという自信の裏返しでもある。7月にレンジャーズ傘下3Aを自由契約になり、実戦から遠ざかってはいるが「(12年に日本ハムを)出て行く前もけがしたりして(試合に)出ていなかったし、そういう不安はないです」とキッパリ。「(打率)3割は最低打たなきゃいけない数字」と、強い自信をのぞかせた。

 稲葉、金子誠が引退し、小谷野がFA移籍でチームを去った。33歳の田中は、内野手では上から2番目の年長者になる。「プレープラスアルファもしっかりできたら」。2年間の米球界での奮闘で確信したこともある。「ファイターズが、監督が目指す野球は世界最先端。進む道は間違っていないと確認できた」。言葉で、態度で、チーム強化のために若手を引っ張っていく。

 最後に田中は、報道陣に逆質問した。「上と何ゲーム差だったんですか?」。ソフトバンクとオリックスが最後まで優勝を争った今季のパ・リーグ。日本ハムは6・5ゲーム離れた3位だった。「6、7ゲーム開けられるってことはかなりの実力差がある。全員が最大限に力を発揮しないといけない」。その先頭に立って、突っ走る。【本間翼】

 ◆田中の守備位置

 かつて日本ハム在籍時は、二塁手、遊撃手、三塁手、外野手の経験がある。ゴールデングラブ賞を5度受賞した二塁手として01~12年まで957試合に出場(途中出場含む)。遊撃手は00~06年まで計40試合。プロ初出場の00年9月13日西武戦(東京ドーム)は、遊撃手として途中出場だった。01年3月25日近鉄戦(同)のプロ初先発は三塁手で、01年のみ21試合に出場。外野手では05、06年に7試合出場している。メジャーでは13年ジャイアンツ時代に左翼手で9試合出場(先発7試合)。マイナー2年間では二塁と左翼のみ。