日本ハム大谷翔平投手(20)が12日、後輩向けに寮の自室を開放するプランを明かした。2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷で自主トレ後、今季の高卒新人7選手から「一線を引かれています」と見えない壁があることを告白。現状打破のため「大谷の部屋」の門戸を開ける考えを披露。地元の岩手・奥州市内で参加した成人式から一夜明け、大人の懐の深さを見せた。

 後輩を温かく迎え入れる準備は出来ているのに…。大谷は少し寂しそうに、2学年下の高卒新人7選手との関係を告白した。「距離を置かれています」。7日に新人一番乗りでドラフト4位石川直也投手(18=山形中央)が入寮してから5日。寮の食堂などで顔を合わせても、あいさつ程度のみだという。「あんまり、まだ話していない」と、壁があることを嘆いた。

 自ら問題解決に動くことを決めた。「来てくれるのは構わない」と自室への積極的な訪問を歓迎する。昨季、日本球界初の「2桁勝利&本塁打」を達成した若きレジェンドに、後輩らは気軽に声をかけられないのが現状。誰とも会話まで至っていないが、チームメート同士。「拒否ったりしないですよ」と懐の深さを見せ、来るもの拒まずの姿勢を打ち出した。

 この日は、行動でも壁を打ち破る意思を示した。室内練習場に居合わせたドラフト2位の清水優心捕手(18=九州国際大付)に「やるぞ」と声をかけ、サッカーのリフティングゲームに参加させた。1学年下の石川亮と3人でリフティング10回を目標に「球に魂を込めて一発で決めよう」と気合も注入した。いきなり誘いを受けた清水だったが「話すのも初めて。夢がかなった感じです」と先輩の心意気に笑顔が止まらなかった。

 大谷は交流後、約1時間、打撃マシン相手に打ち込んだ。自主トレ前の後輩の笑顔に手応えも感じたもよう。「1軍、2軍(と分かれるので)どうなるか分からない」としながら、2月の春季キャンプ中も宿舎の部屋開放も検討。「徹子の部屋」ならぬ「大谷の部屋」への誘い。この日、サッカーに強制参加させたように、本家ばりのムチャぶりの可能性も秘めるが、大谷はいつでもドアをノックしてくる後輩を待っている。【木下大輔】