阪神北條史也内野手(20)が今春の1軍沖縄キャンプに抜てきされることが決定的となった。14日、鳴尾浜球場での自主トレを視察した和田豊監督(52)がパワーアップした体を称賛。鳥谷の後継候補として初めて1軍キャンプスタートの可能性を示唆した。スタッフ会議は16日に行われるが、3年前、藤浪とともに甲子園を沸かせた期待の若手に大きなチャンスが訪れそうだ。

 鳴尾浜の三塁側ベンチからグラウンドを見つめる視線があった。和田監督、平田ヘッド、中村GM。現場と編成トップの話し合いはキャンプ1、2軍の振り分けにも及んだようだ。そして、その視線の先には3年目の北條がいた。あくまで16日と23日のスタッフ会議を経て決定されるが、指揮官は期待を膨らませた。

 「国際大会を経験して帰ってきてから、顔つきが明らかに違う。おもしろいんじゃない?

 沖縄?

 その候補に入ってくるんじゃないかな」

 キャンプ1軍スタートが実現すれば初めて。高校時代は光星学院の主砲として甲子園を沸かせた。3年の夏は1大会4本塁打を放ち、現在チームメートの藤浪と決勝を戦った。スター候補としてドラフト2位で入団して、3年目を迎えた。昨季は終盤に1軍昇格したが結局、出場機会なく再び2軍に戻った。聖地に立つための第1歩が沖縄だ。

 「体ができて、動きもあか抜けてきた。しっかりやってきているなと感じた」

 和田監督が言ったように昨秋、21Uワールド杯(台湾)に日本代表として参加し、準優勝に貢献。本塁打も放ち、ベストナインにも選出された。秋季キャンプは大会後に2日間だけの限定参加だったが、指揮官は日の丸を背負った舞台での変化に注目していたようだ。2年間のプロ生活で体格がひとまわり大きくなったことも1軍首脳の目にとまったようだ。沖縄キャンプとなれば、チームリーダー鳥谷と遊撃で練習をともにする。

 「(鳥谷は)ずっと出ているけど、何かあった時にという選手をつくっておかないといけない」

 和田監督は“ポスト鳥谷”の候補と認める。それを伝え聞いた北條は勝負のシーズンへ決意をにじませた。

 「さらに上を目指してアピールして、1軍定着を目指して頑張るしかない。もしそう(1軍に)なったら、自分から(鳥谷に)積極的にいけたらと思います」

 今オフだけで約3キロ増量したという。見た目にも体ががっちりした。藤浪に続く若手スター候補誕生なるか。今シーズンの見どころがまた1つ、増えた。【鈴木忠平】

 ◆北條の21Uワールド杯(14年11月)全8試合に二塁手として先発出場。23打数7安打、8打点、打率3割4厘。第1ラウンドのベネズエラ戦(8日)では、1点を追う4回に左翼へ逆転3ランと存在感を見せつけた。また7四球を選び、チャンスを広げた。