エースが「絞り込み」で若返った。ソフトバンク摂津正投手(32)が長崎市内でのハード自主トレを公開。午前9時から昼食休憩を挟まずぶっ通しで体をいじめて絞り込んだ。球種も本来のカーブ、シンカーに絞りシンプルに勝負。4年連続2桁勝利のエースが、万全の状態で工藤新体制の宮崎キャンプを迎える。

 やや太めだった昨季の姿ではなかった。ダッシュを繰り返す摂津の体は3週間の厳しい自主トレで絞り込まれていた。キャンプ前のこの時期で、球団発表の97キロより2キロ軽い95キロ。「昨年より練習量も時間も多い。強化メニューも多く体幹も(昨年の)倍以上。しっかり追い込めています。食事を挟むと気持ちがだれてケガのリスクもある」。公開したこの日も5時間、休憩なし。水分補給だけだった。ベンチ裏にバナナなど軽食を置くことも考えたが、そんな食欲も出ないくらい鍛えることになった。

 2度目の長崎となる今年は10歳年下の森、岡本が参加を志願してきた。「いい刺激になる。負けてらんねえって思いますね」。負けん気が、今年33歳を迎える右腕を若くする源になっている。

 4年連続2桁勝利中だが、昨季は10勝8敗と不本意な成績だった。高みを目指そうとカットボール、シュートという変化の幅が小さな新球に挑戦したが、投げ方を崩してしまった。「もう1度自分の基本となる部分でやってみます」。今季はシンカー、カーブと直球という摂津本来の投球に若返る。

 この日もマウンドから30球投げ込んだ。そのうちカーブは5球。ポーンとブレーキの利いた軌道を描いた。「昨年はキャッチボールで痛いと感じた。今年は状態がいい」。すでに3度捕手を座らせて投げるなど、肩も仕上がってきている。

 球団史上初となる4年連続開幕投手について「競争した中で奪うもの」と話したが「30代ローテーションとか関係ない。野球は年齢でやっていない。投げられる場所がなかったら選手は続けられない。競争に勝った方が投げる」と、エースとして先発の枠は譲れない。松坂34歳、スタンリッジ36歳、中田32歳、大隣30歳、帆足35歳と30代のライバルは多い。その上で、20代前半の若手へのチャンスも増えるなど厳しい状況も予想される。

 「あまり大きいことは言わない。フルにローテーションを回って2桁勝利して連覇したい」。体も投球スタイルも絞って若返った摂津なら、エースの安定感を取り戻しそうだ。【石橋隆雄】<25日のメニュー>

 ◆8時50分

 ランニング

 ◆9時10分

 ウオーミングアップ、ダッシュ

 ◆9時30分

 フットサル

 ◆10時10分

 キャッチボール~遠投60メートル

 ◆10時30分

 マウンドから投球。森、岡本の投球を見守りアドバイス

 ◆11時10分

 三塁でノック、マウンドで投内連係

 ◆11時30分

 ゴムやバランスボールを使ってマット上での強化トレーニング。腹筋、背筋など。両膝と両足首をくくりつけて歩く

 ◆12時50分

 外野へ行き長距離ダッシュや短いターンなどの瞬発系トレーニング

 ◆13時50分

 グラウンドでのメニュー終了

 ◆やっと昼食

 

 

 

 

 

 ◆トレーニングジムへ移動し筋力トレーニング