40発だっていける!

 ソフトバンク柳田悠岐外野手(26)が宮崎キャンプの2日、王貞治球団会長から本塁打の極意を授けられ、柵越えを連発した。バックスピンをかけた打球を飛ばすことを意識付けされ、アーチストの弾道に。本塁打率が初日から倍増した。「世界の王」に太鼓判を押された柳田が、アーチ量産の予感だ。

 柳田の打球がスタンドに飛び込むたびに、客席から驚きのような歓声が上がった。「世界の王」から与えられた的確な助言で、打球の伸びが一変。持ち前の豪快なスイングで、気持ちよさそうに柵越えを連発した。

 「昨日より慣れました。ボールの回転を練習から意識すること。それだけでも違ってくる。感じはいいんじゃないですか」

 フリー打撃前、王会長から打球をより飛ばすためのアドバイスを受けた。その秘策とは、ボールにバックスピンをかけるように打つこと。近くにいた松中もまったく同じ意見だった。かつて3冠王を獲得した2人の大先輩からの金言。柳田は「王さんと松中さんに教えてもらったら誰でもよくなるでしょ」と、素直に耳を傾けた。

 その結果、キャンプ初日の前日は特打も含め、216スイング中、柵越えは28本だったが、この日は53スイングで14本。単純に柵越え率で見ると13%から26%へと倍増し、3連発も。バックスクリーンに直撃する推定130メートル弾が飛び出すと、客席からはどよめきが湧き起こった。

 日本人離れした力強いスイングに、王会長は「すごいね。とにかくいいところを伸ばす。(スイングの)力を変える必要はない。やっているうちに自分の角度を覚える。自分なりに考えてつかむものだからね」と期待。柳田がプロ入り当初から目標としてきた打率3割、30本塁打、30盗塁のトリプルスリーだけでなく、3冠王獲得にも太鼓判を押した。

 「トリプルスリーも十分できるし、3冠王くらいのものを期待させるだけのものは持っている。試合になるとそう簡単にはいかないが、それをくぐり抜けて30本、40本打っている人がいる。期待大ですよ」

 プロ通算868本塁打を放った王会長からのハッパを受けた柳田は「去年より全部の数字を超えたい。成長しないとダメ。この1カ月を無駄にしないように、1球1球大事にしていきたい」と、王会長の期待を真摯(しんし)に受け止めた。昨季の15本塁打は最初に超えなければいけないハードル。だが、その壁を越えれば、目標の数字もきっと近づいてくるはずだ。【福岡吉央】<今オフの柳田>

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