「1分間の深イイ話」ならぬ「1本の重イイ相棒」!

 オリックスの新主将糸井嘉男外野手(33)が自主トレから1キロに近い重量バットで練習を続けていることが5日、分かった。飛距離アップが狙いで、この日のフリー打撃でバックスクリーンを越える推定飛距離150メートル弾。史上9人目のトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)達成へ、超人が進化する。

 進化系超人、糸井の打球は追い風にも乗り、何と高さ8・4メートルのバックスクリーンの向こう側に消えた。「風があったから。風、風やで!」と謙遜したが、球場関係者が「あそこを越えた人はいません」と目を丸くする1発だった。

 しかもそれを打ったのは重さ970グラムの練習バットだった。黒い外見は試合用と変わらない。人知れず、オフの自主トレ期間中から振り込んできた。「あまり今までマスコットを使ってなかったからね。振ってみようかなと思って」。

 昨年の試合用は900グラム前後。たかが70グラム、されど70グラムだ。関係者は「10グラム変わればまったく感覚が違う」と証言する。フリー打撃にロングティー打撃。1キロ近いバットを常に使うのは至難の業だ。メーカーに提供された1本を、練習で折ることがなく、ずっと使い続けているという。

 そんな「重イイバット」を使う理由は飛距離アップだ。トリプルスリーを常に意識。昨季本塁打は19本で唯一クリアできなかったため、糸井は「遠くに飛ばすことを心がけて練習している」。この日視察した侍ジャパンコーチの日本ハム稲葉篤紀スポーツ・コミュニティー・オフィサー(42)からは「バットに球をちょっとくっつけて乗せる感じ」と助言をもらい、さっそく実践した。

 結局フリー打撃ではバックスクリーン越えの1発を含め、73スイングで13本の柵越え。「全部逆方向を意識した」と、中堅から左方向への柵越えが9本もあった。重量バットはオープン戦での使用も検討している。「まあ、ええ感じやね」。超人の進化は止まらない。【大池和幸】