<東京6大学野球:早大8-0東大>◇第2週最終日◇22日◇神宮

 昨夏甲子園優勝投手の早大・吉永健太朗(1年=日大三)がリーグ戦初登板で初勝利を挙げた。東大戦に先発。5回までパーフェクトに抑え、6回1安打無失点と好投した。甲子園V投手で早大の先輩、斎藤佑樹(日本ハム)のデビュー戦とそっくりな内容となった。

 堂々たるマウンドさばきも、斎藤に似ていた。吉永は「少し緊張して、最初は球がいってなかった」と言うが、先頭打者を初球の137キロ直球で遊ゴロに打ち取ると、すいすいと好投を続けた。捕手地引が「オープン戦から大学生にはほとんど打たれなかった」という必殺シンカー、100キロ台のカーブを多めに投じ、最速は140キロ止まりも毎回三振。5回まで1人の走者も許さなかった。

 人生初のパーフェクトを意識すると、多少リズムが崩れた。6回の先頭打者に「気付いて打たれちゃいました」と左前打を許した。犠打で1死二塁のピンチを迎えたが「あそこは三振がほしかった」と変化球で2者連続三振に切った。1点差のため6回裏に代打を送られたが、岡村猛監督(57)は「大学に入学してすぐなのに落ち着いた投球だった」と評価した。

 同じ背番号16、斎藤そっくりの大学デビューとなった。東大相手に5回まで完全で、毎回三振の6回1安打無失点。打席で初安打も一緒で、球数(73)と三振(7)だけが1違いだった。この日は「そんなに意識してなかった」という先輩だが、斎藤超えを大学での目標に掲げる。今年1月の初練習で「斎藤さんの30勝と300奪三振は偉大。記録を目指したい」と宣言していた。

 ウイニングボールを受け取ると「部屋に飾りたい」とはにかんだ右腕。上々の内容にも「今日はいい方じゃなかった。しっかり調整しないと打たれる」と引き締めていた。【斎藤直樹】

 ◆吉永健太朗

 よしなが・けんたろう。1993年(平5)10月13日、東京・八王子市生まれ。小1から南平アトムズで野球を始める。七生中時代は調布シニアに所属。日大三では2年秋にエースとなり明治神宮大会V。3年センバツは4強、夏の甲子園優勝。182センチ、80キロ。右投げ右打ち。家族は両親と妹、弟。

 ◆斎藤の大学デビュー

 07年4月14日、背番号16で東大との開幕戦に先発。東京6大学では77年ぶりの新人開幕投手だった。予定の5回まで完全投球。6回の先頭打者に初安打されたが、74球で6回1安打無四球無失点。最速143キロで奪三振は8。初登板初勝利を挙げた。打席では初打席初安打。スコアは8-0で早大が勝利。観客は1万8000人。