<福岡6大学野球>◇最終週◇27日◇福岡県営春日公園野球場

 福工大の16季ぶり10度目の優勝が決まった。この日、九共大が九産大に敗れ、勝率で上回ることができなくなったため。前日26日にリーグ戦を終えたナインたちは、福工大グラウンドで塩屋佳宏監督(35)を胴上げ。喜びに沸いた。福工大は、6月11日に開幕する全日本大学野球選手権(神宮ほか)に出場する。

 8年ぶりの優勝の知らせは福工大ナインの携帯電話に届いた。九共大が勝てば、翌日に優勝決定戦にもつれこむため、選手たちは練習に備え寮で待機。春日球場から古庄巧主務(4年=大分雄城台)が、試合速報をLINE(ライン)で送り続けた。午後2時15分、九共大敗退の知らせを受けた瞬間、主将の薬師貴宏内野手(4年=福岡工大城東)は「ハイタッチで叫びました」と喜び合った。

 九共大、九産大の2強から勝ち点を挙げた、堂々のリーグ優勝だ。九共大は大瀬良、九産大は浜田と絶対的エースがいたが、2番手以降に泣かされた。福工大は、4勝のエース矢野公嗣投手(4年=福岡魁誠)2勝の笛田怜平投手(2年=鹿児島南)を中心に5人の投手陣が安定。11試合すべて3失点以内に抑えた。笛田は「自分が崩れてもいい投手がいるからいけるところまで投げればよかった」と振り返った。

 昨秋4位から頂点へ。3月下旬には開幕前としては異例の1週間の走り込みを行った。長距離に短距離、軽い肉離れを起こす選手が続出した。それでも塩屋監督は走らせ続けた。リーグ戦でバテることなく快進撃につながった。

 昨春には約10億円をかけて新球場ができた。今春にはWBC日本代表も利用した。室内練習場の大きさも以前の倍になり、いつでも部員86人全員で練習ができるようになった。ネットなどの設備も増え、今までできなかった実戦的な走塁練習もできるようになった。薬師主将は「球場をつくってくれたことに恩返ししたい。チャレンジャーの気持ちで戦っていきたい」と、ワクワクする気持ちを抑えられない表情で、全日本大学選手権へ意気込みを見せた。【石橋隆雄】