<東都大学野球:亜大6-1中大>◇最終週最終日◇30日◇神宮

 亜大が中大を破り、連勝で勝ち点4に伸ばし、同大初の4季連続21回目の優勝を決めた。先発の山崎康晃投手(3年=帝京)が7安打1失点完投で4勝目(1敗)を挙げ、打線は10安打で6点を奪った。4年間エースだったソフトバンク東浜が抜けたが、世代交代に成功。最高殊勲選手に今季5勝の九里亜蓮投手(4年=岡山理大付)、首位打者には長曽我部竜也内野手(3年=新田)が輝いた。日本一を目指し、全日本大学野球選手権(6月11日開幕、神宮ほか)に出場する。

 小雨舞う神宮に、色とりどりのテープが投げ込まれる。初の4季連続V。監督、部長、選手の胴上げ…。興奮が最高潮に達するはずが、すぐに選手たちは自らの手で紙テープを片付け始めた。スターはいなくても、律義で礼儀正しい強者たちが、歴史を刻んだ。

 4年間通算35勝を挙げ、22完封をマークしたソフトバンク東浜が抜けた。生田監督は「本当にウソではなくて、どうやって入れ替え戦で勝つか」がテーマだった。優勝ではなく、最下位を想定した戦い。春のオープン戦では山崎、九里ら投手陣の防御率は6点台後半。4月8日の開幕戦は黒星スタートだった。

 昨季までは1点取れば東浜の完封があったが、今季は違う。「投手に3点あげる、その代わり打線が4点取る」(生田監督)をコンセプトに掲げた。昨年まで練習の8割を守備練習に費やしたが、それをそのまま打撃練習に入れ替えた。

 徹底した平等主義で競争をあおり、指名打者は12試合で8選手が先発した。相手投手も昨季以上に研究し、ドラフト候補の国学院大・杉浦なら、外角低め1点に絞り、そのポイントだけを狙った。通常より数センチ長いバットを使い、外角低めを振り続けて連勝した。

 不安視された投手陣は九里が5勝、山崎は4勝と結果を出した。山崎は「九里さんと競争しながら投げたリーグ戦。もっと成長したい」と言った。大一番でマウンドを守り抜き、頼もしく歓喜の輪に吸い込まれた。最終戦は6-1の勝利。3点以内に抑え、4点以上取る。追い求めてきた理想の形で、「戦国東都」の頂点に立った。【前田祐輔】