<東都大学野球:亜大4-0国学院大>◇最終週第2日◇28日◇神宮

 戦後初の6季連続優勝を狙う亜大が、リーグ戦初先発の川本祐輔投手(3年=尾道)の完封で、国学院大を破り、優勝へ逆王手をかけた。5回1死満塁から、代打渡将太捕手(4年=福岡第一)が決勝の2点適時左前打を放ち、1勝1敗の五分に戻した。国学院大は先発の岡崎裕一投手(4年=日大鶴ケ丘)が5回2失点で降板。今日29日の3回戦で勝利した方が優勝となる。

 試合当日の午前4時45分、亜大ナインは東京・日の出町の球場脇にあるサブグラウンドにいた。4年生が率先して、草むしりを開始。今季から総額3億円規模をかけて、メーン球場を全面人工芝に改修し、昨年までの伝統だった草むしりがなくなっていた。

 6季連続優勝に向けて、崖っぷちに立った前夜。真野恵祐主将(4年=神戸国際大付)らを中心に、1時間草むしりを行った。夜、朝と続けたことを知った生田勉監督(47)は「今までの4年生と違うのは何か、考えたみたいです」と、気持ちの変化を感じ取った。

 4年生に続き、先発川本も午前5時過ぎには草をむしった。「原点」を思い返してマウンドに立つと、スライダー、スプリットなど、丹念にコースをついた。今季は2月に右肘を痛め、キャンプに参加できずに出遅れた。「1回からリリーフの1イニング目と思って投げました」。負ければV逸の試合で、153球を投げ抜き、リーグ戦初先発初完封を決めた。

 これで逆王手。チームを救ったヒーローは、記念のウイニングボールを観戦に訪れた恩師、尾道(広島)北須賀俊彰監督に手渡した。【前田祐輔】