<東京6大学野球:法大5-0東大>◇第7週第2日◇26日◇神宮

 勝利の味を知らぬまま、赤門の4年生が大学野球生活を終えた。東大が法大に敗れ、リーグ通算86連敗を喫し、34季連続の最下位が決定した。有井祐人主将(4年=新田青雲中教校)ら4年生は、11年春の早大2回戦と12年秋の慶大1回戦で引き分けただけで、1度も白星をつかむことなく卒業する。

 最後の試合も、申し訳なくスタンドへ頭を下げるしかなかった。東大・有井主将は、リストバンドをはめた左腕で何度も目をこすった。「悔しい、悔しいです。後輩に申し訳ないし、監督を男にしてあげられなかったことも全部、悔しいです」。東大生がまるで小学生のように「悔しい」を並べた。

 ラストゲームも無得点だった。初回に先頭打者が中前打で出塁したが、バント失敗。6回には相手失策で1死二、三塁としたが、続く打者が三振、左飛に倒れ、1点が遠かった。相手エースとの対戦を避け、辰亥由崇投手(3年=高松)を2回戦で先発させた策も実らず、86連敗でリーグワースト記録を更新した。浜田一志監督(50)は「彼らの努力を実らせることができなくて、監督として非常に申し訳ない」とわびた。

 今年から150キロに設定できる打撃マシンを購入し、打線は上向いた。クリーンアップを打つ笠原琢志外野手(4年=甲陽学院)は打率3割3分3厘を打ちリーグ6位タイ。慶大2回戦では12年春以来の本塁打も飛び出すなど、計4本塁打は00年春以来とパンチ力もついた。そのうち2発を放った有井はチームを変えるため、主将を指名制から立候補制にし、自ら手を挙げた。「結局、勝てるチームが何かは分からなかったけど、後輩には今年の経験を糧にもっと強くなってほしい」と連敗脱出を願った。

 12人の4年生で、卒業後も野球を続ける者はいない。藪博貴主務(4年=西大和学園)が1年大学に残った後、社会人チームでのマネジャーを考えているだけ。商社を希望する有井も「しっかり(野球を)やるのは大学まで。僕の野球生活は終わりました」と振り返った。在籍した4年間で80敗2分け。それでも、「また負けた」と思う試合は1つもなかった。勝つために真剣に取り組んだからこそ、悔しくて、泣けてきた。【和田美保】