日本ハム栗山英樹監督(51)が、強行での1位指名を決めた160キロ右腕、花巻東・大谷翔平投手(3年)に平謝り連発でラブコールを送った。「プロ野球ドラフト会議

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 TOSHIBA」は今日25日、東京都内で開催される。ドラフト会議前日の24日、栗山監督は都内で行われた球団幹部を交えた最終会議に出席。玉砕覚悟で挑む球団の意向を了承した。「申し訳ない」と繰り返しながらも、高く評価するメジャー希望の逸材への思いを激白。日本ハム入りは「大谷君のプラスになる」と、交渉権を獲得した際には翻意するよう切望した。

 栗山監督が陳謝を連発しながら、あらためて大谷を1位で強行指名することを正式に表明した。山田GMが今ドラフトの方針を明言した前日23日、同監督は大谷指名の方針を伝えられた。「ビックリした」と面食らったが、一夜明けて腹は決まった。まずは昨季まで取材で面識があった大谷の気持ちをくんで「申し訳ない」と連発。それでも「今年の一番いい投手で、一番いい打者」と、球団と熱い思いは同じだった。

 ドラフトに向けた最終会議は2時間の予定を約1時間オーバーした。緊迫感十分で最終決定の正式表明を待つ報道陣に向かって「大谷君のことでしょうから」と、自ら切り出していった。日ごろは言葉選びには慎重な指揮官が、興奮からか少しフライング気味だが、揺るぎなかった。「大谷君には本当に申し訳ないけれど、指名をした。いや、(指名を)させていただきます」。結論を出した大谷を含めた花巻東関係者への最大限の敬意は忘れなかった。

 大谷へのいちずな気持ちは、球団と一緒だった。栗山監督はキャスターなどで活躍していた昨年3月の東日本大震災後に、初めて大谷を直接取材した時に受けた衝撃を明かした。「度肝を抜かれたよね。こんなボールを投げる高校生がいるんだって」。レンジャーズ・ダルビッシュらを輩出し、育成に定評がある球団の特長を力説して「大谷君にもプラスになる」と何度も訴え続けた。

 覚悟を決め、大役も引き受けることになった。仮に競合した場合には、クジ引きに臨む。監督として初のドラフトが、信念を貫いた球団とともに一世一代の舞台になる。「本音を言うと、申し訳ない…」と心苦しさもあるが、もう球団の命運をかけた一大決断は動きだした。「僕ができることなら、何でもする」。就任1年目で挑む27日開幕の日本シリーズを前に、大仕事が託された。【高山通史】