「馬のように速い」スイッチヒッターが大暴れを予告した。ロッテがドラフト4位指名した加藤翔平外野手(21=上武大)が27日、群馬・伊勢崎市内の同大で、契約金4000万円、年俸1000万円で契約した。両親が陸上で国体出場経験がある“サラブレッド”は50メートル走5秒68、遠投120メートル。1軍レベルの足と肩を武器に層の厚い外野手のレギュラー争いに挑む。花巻東・大谷翔平投手を引き合いに「翔平と言ったら自分と思ってもらえるように」と意気込んだ。

 加藤は「アピールは足。それを生かして早く1軍に上がりたい」と鼻息荒く宣言した。183センチ、83キロと大柄ながら、50メートルは5秒68。ストライドが大きく、一塁ベースを駆け抜けても呼吸が乱れない走りが特徴だ。松本編成統括は「肩、足はすでに1軍レベル。外野の即戦力として期待している。経験を積めばレギュラーになれる」と絶賛する。

 高い身体能力は両親譲り。母清美さん(53)は東京都代表として陸上短距離で国体に出場した。父正さん(59)もやり投げで国体9位の実力者だ。清美さんは「特に指導はしてないんですけど…」と笑うが、小学生のころから片道2キロの通学路にある電柱の間を全力疾走するインターバル走で、脚力を鍛えた。

 上武大の佐藤秀太郎コーチ(30)は「馬のように速い。筋肉が違う。陸上スパイクで走ったらたぶん日本記録が出る」と太鼓判を押す。角中、岡田、荻野貴らがひしめく外野陣で、俊足強肩による高い守備力は武器だ。両打ちでもあり、永野チーフスカウトは「いそうでいないタイプ」と期待する。加藤は「岡田さんの1歩目を盗みたい」と、2年連続でゴールデングラブ賞を獲得した名手への“弟子入り”も宣言した。

 ドラフト4位というのも“好枠”だ。今季新人王の益田、清田、渡辺俊、小林宏、初芝氏ら主力が入団した際の縁起の良い順位。加藤はインターネットでその“伝説”を知り「これは裏切れない」と発奮した。

 くしくも日本ハム入りが濃厚となった花巻東・大谷と同名。背番号65に決まった加藤は「翔平と言ったら自分と思ってもらえるよう活躍したい。俊足を生かして上の人をどんどん抜いていきたい」と出世レースを誰よりも早く駆け上がることを誓った。【島根純】

 ◆加藤翔平(かとう・しょうへい)1991年(平3)3月28日生まれ、埼玉県加須市出身。小学生から陸上、サッカーなどをしていたが、父の「陸上より野球のほうが面白い」の言葉で野球に専念。春日部東から上武大進学。俊足、強肩が持ち味で大学3年春から関甲信リーグで4季連続ベストナイン。4年春には盗塁王、秋には打点王を獲得した。父、母、弟の4人家族。183センチ、83キロ。右投げ両打ち。